鯉が先勝!ロサ1号でキラの穴埋めた

 「広島7‐3巨人」(25日、マツダ)

 首位を走るカープに、またも新星が現れた。ライネル・ロサリオ外野手(25)が、来日初アーチとなる1号ソロを放った。今年1月に練習生から支配下選手登録されたドミニカンが勢いをもたらし、巨人との首位攻防戦の初戦に完勝。広島は4連勝で、貯金は球団16年ぶりとなる11とした。

 満面の笑顔で、ロサリオは少し照れて言った。初のお立ち台。「マイネーム、イズ、ライネル・ロサリオ。アリガトウゴザイマス」。今季最多2万8457人がつどった本拠地。日本語も加えた自己紹介に、ファンから大歓声で迎えられた。

 4‐3で迎えた六回、先頭で打席に立ち、スライダーを強振。打球は右翼フェンスを越えた。杉内を降板に追い込む来日初アーチ。「捉えられた。行ってくれと思った。すごいハッピーだ」と喜んだ。

 チーム内で「おさむ」と呼ばれる陽気なドミニカン。この日の練習前は「キョウ、ピッチャー、スギウチ。デモカンケイナイカラ!フワッ、フワッ」と日本語で叫んでナインを鼓舞。その言葉通りに巨人を倒し、チーム16年ぶりの貯金11に貢献した。

 キラの故障離脱で1軍に昇格し3試合目。本塁打を含む2安打1打点と活躍。昨年の秋季キャンプで来日。当時は練習生だったロサリオの規格外のパワーを高く評価した野村監督も、「アグレッシブにやっている。この調子でやってくれれば」と目を細めた。

 陽気な男の原動力は家族だ。米フロリダ州で暮らす母ヘルマニアさん、42歳の姉さん女房のサンディーさんに、1日3度ずつは連絡する。「これからすぐ連絡する。自分を信じてやれば、いい結果が出ると励まされてきた」と、声を弾ませた。

 帽子のひさしには母の信条「頑張れば誰かが見てくれる」というスペイン語の略語を書き込んでいる。妻と一緒に暮らす2人の子どももいる。「子どものことをいつも考えている」と、成功を目指してきた。

 本塁打を放ち生還する際は右手で胸をたたき、人さし指を天に向けた。安打のたびに行っている儀式だ。「父さんにささげているんだ」。2009年に40歳で他界した父ビクトルさんへの思いを表現している。

 広島とは4年契約を結んでいる。「4年チャンスをいただいた。本塁打、打点、自分のパワーを生かしたい」。チームの躍進とともに、ジャパニーズ・ドリームをつかみ取る。

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