九里、開幕1軍&5・13凱旋登板に照準
広島のドラフト2位・九里亜蓮投手(22)=亜大=が4日、大阪府八尾市内で自主トレを公開した。早くも変化球を交えて51球を投げ、順調な調整をアピール。中学時代を過ごした鳥取県で行われる阪神戦(5月13、14日・米子市民球場)での凱旋登板を目標に、開幕1軍を見据えた。
力強いボールがミットに吸い込まれた。九里が新年初めてマウンドに立った。捕手を立たせて20球、座らせて31球。まだ7割程度の力と言うが、直球に加えてスライダー、カーブ、チェンジアップ、ツーシームも披露した。「体は動いている。走れる体、投げられる体はつくれている」と、うなずいた。
ランニング、キャッチボール、遠投もこなした。「腕の使い方を確認するため」と、ナックルを投げる独自の調整法も見せた。亜大に進学する年から、年末年始は母・早登江さんが暮らす大阪で練習を積んでいる。今年で5年目。元日以外は体を動かし続けてきた。
ペースの速さを心配する声には「昨年は2日に投げ込みをしていますから」とサラリ。10日から始まる新人合同自主トレへの手応えは十分だ。「ケガなく1年間やりたい。1年目から10勝して、それを毎年続けたい」と、改めて目標を掲げた。
そして新年の誓いは、故郷の鳥取で暮らす祖母への孝行だ。九里は中学時代に素行不良になり、道を踏み外しかけたことがある。野球からも離れそうになったが、3年時に再び野球の道に戻るよう諭してくれたのが祖母・淳子さんだった。
「祖母もいるので米子で投げられるように頑張りたい。祖母がいなかったら野球を続けていなかった」と、5月の阪神戦登板に意欲を燃やした。
その米子市民球場では、米子ビクターズ時代の中学3年時の地方大会で準優勝。プロ野球公式戦の荷物運びを手伝ったこともあり、当時楽天の山崎武司氏から打撃用手袋を贈られたりもした。
まずは開幕1軍から、故郷凱旋を目指す右腕。「先発で投げられたらいい。それでなくとも、与えられた役割をしっかり果たしたい」。祖母への恩返しへ、気持ちが一層強くなった。