サトタツはユニホームを脱いでも“鉄腕”だった オリックス広報・佐藤達也さん【NPB】

 コロナ禍が長引く状況下でも、チームを支える裏方は欠かせない。現役時代に注目を集め、今も陰で奮闘する元選手を紹介する「裏方はスゴ腕」。第4回はオリックス広報の佐藤達也氏(34)。現役時代には150キロ超の直球を武器に2年連続最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した剛腕。広報となった今もチームのために大車輪の活躍を見せている。

  ◇  ◇

 2013年、14年と2年連続でパ・リーグ「最優秀中継ぎ投手」を獲得した右腕はいま、ユニホームを着ていない。その人、佐藤達也さんはオリックスの球団広報を務めている。

 キャンプでは午前8時、選手より早く球場入り。午後6時ごろ、誰も居なくなったことを確認して宿舎へと帰る日々を送る。

 仕事はとても多い。新聞、テレビ、雑誌などメディアからの取材依頼をさばく。セッティングをして、立ち会って、原稿のチェックを行うこともある。

 「選手の時は取材を受ける側だったので広報さんは大変だろうなと思っていたんですが、いざ自分がその立場になったら(笑い)。こんなにいろいろやってくれてたんだなって思いました」

 現役時代の活躍を覚えているファンは多いと思う。プロ2年目に67試合に登板すると、4年連続40試合以上に登板。毎日毎日投げる姿から“鉄腕”と呼ばれるようになった。

 こんな話がある。登板過多を危惧した当時のコーチ陣からオフのノースローを言い渡された。にもかかわらず、佐藤さんは隠れて投げた。神戸にあった青濤館のブルペンに一人で現れると、300個は入るボールカゴを横に置いて延々と投げた。当然、見つかって怒られた。

 「下手なんで、投げないと不安なんです」

 広報になってもその姿勢は変わらない。休みのはずの移動日。取材現場に佐藤さんが現れることはしばしば。町豪将広報部チーフは「休めって言ってるんですけど」とあきれ顔。そんな光景はこの2年、何度も見てきた。

 なぜ休もうとしないのか、聞いてみるとしばらく考え込んだ。

 「もしかしたら子供の頃、母親に『他人に迷惑だけはかけたらダメ』と言われたのが残っているのかもしれません。野球も下手でしたし、仕事もまだ全然できていませんから」

 苦笑いでこう話した。1月11日、佐藤家に第3子が誕生した。周囲からはキャンプ前半で育休をとることも勧められたが、断ったという。強い責任感と、手を抜かない姿勢。報道陣は尊敬の意味を込めて佐藤広報のことを“鉄腕”と呼んでいる。

 ◆佐藤 達也(さとう・たつや)1986年7月26日生まれ、34歳。埼玉県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。大宮武蔵野から北海道東海大、ホンダを経て2011年度ドラフト3位でオリックス入団。最優秀中継ぎ投手2回(13、14年)。18年10月に戦力外通告を受け現役引退。19年からオリックスの球団職員として広報部に配属される。現役通算は262試合で11勝21敗、14セーブ、109ホールドで防御率2・71。

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