被災地・熊本の選手が始球式 思いを込めたストレートに大歓声

 始球式を務める熊本県立阿蘇中央高校野球部・倉岡真聖主将
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 「全国高校野球・開会式」(7日、甲子園球場)

 開幕戦を前に、阿蘇中央高校の倉岡真聖主将が始球式を行った。ゆったりとしたフォームから放たれた130キロ台中盤のストレート。想像以上のボールにスタンドからは大歓声が沸き起こり、大きな拍手が送られた。 右肩を痛めている影響で「今後は野手としてやっていこうと思っています」。投手として“最後の1球”を投じる場所が甲子園のマウンドだった。「憧れの場所で、個々目指してやってきて良かったなと思いました。自分の精一杯は投げられた」と納得の表情を浮かべる。

 高校2年で120キロ台後半だった直球はレベルアップ。最後の夏へ向け準備を進める最中、熊本を2度の大地震が襲った。チームメートの安否を確認し合い、自分たちに何ができるかを考えた。

 「野球の練習よりも周りの人を助けよう」。チーム内で意思を統一し、避難所でのボランティア活動や田畑の整備を手伝った。開会式に備えて大阪入りする直前には、南阿蘇に出向き「前まであった橋がなくなって、家も潰れたままで…かわいそうという気持ちすら出てこない状態だった」と悲痛な思いを明かす。

 だからこそ、大きな拍手は自分だけでなく「被災した人たちに送られたんだと思います」と言い切った。「ボランティアをしていく中で、小さな感謝の言葉をかけられるのがすごくうれしかった」と自分たちの練習時間を割いてでも、復興に尽力してきたその表情には一点の曇りもない。

 「どんな形でも野球は続けていきたいと思っています。投手ではなく野手として」と語った倉岡主将。聖地のマウンドから投げた1球の感触を胸に秘め、次なるステージへ一歩を踏み出す。

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