履正社・山口、6回9K 寝違えで登板回避の“遅れ”取り戻した

 「高校野球大阪大会・3回戦、履正社10-0茨木」(22日、万博記念公園野球場)

 履正社のドラフト候補・山口裕次郎投手(3年)が6回1安打無失点9奪三振の快投を見せた。本来なら2回戦に先発予定だったが、寝違えで登板を回避し、ドラフト1位候補の寺島成輝投手(3年)に助けてもらった左腕。名誉挽回の投球を、ネット裏では阪神など9球団21人のスカウトが見守った。

 失った信頼を取り戻したかった。ライバルの寺島に助けてもらった恩を、投球で返したかった。「遅れてるんで、取り戻していかないといけない」と力を込めた山口。その思いが六回2死までノーヒットノーランという快投を生み出した。

 初回、最速142キロを計測した直球を主体に3者連続三振で立ち上がった。二回に「力が入りすぎた」と3四球で2死満塁のピンチを招いたが、後続をしっかり打ち取った。

 六回2死から遊撃手が打球を後逸して左前打となり「意識はしてました。『あーっ』と思いました」と言いつつも、動揺はなし。最後の打者を二飛に打ち取った。結局6回を無失点9奪三振と相手を寄せ付けなかった。

 本来なら3回戦の汎愛戦で先発予定だったが「結構、首が動かなかったです」と申し訳なさそうに明かした左腕。開幕前、女房役の井町大生捕手(3年)から帽子のつばに「サイボーグ」と書かれた。ガッチリ体形で頼りにされていた左腕だが、その矢先のアクシデント。昨春も公式戦初登板予定の直前で十二指腸潰瘍を患い手術、2週間の入院を余儀なくされた。

 「頑丈ではない」イメージを払しょくするには、今後の奮闘が必要になる。寺島に劣らない力を持つ左腕が“真のサイボーグ”と呼ばれるようになれば、必ず夏の聖地は見えてくる。

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