松山聖陵・アドゥワ 完投で川之江下す

 「高校野球愛媛大会・2回戦、松山聖陵5-1川之江」(18日、松山中央公園球場)

 愛媛大会は1回戦2試合と2回戦4試合が行われ、松山聖陵が第1シードの川之江を下し、3回戦に進んだ。身長196センチのプロ注目145キロ右腕・アドゥワ誠投手(3年)は、3安打1失点で完投。視察に訪れたプロ9球団のスカウト陣に能力の高さをアピールした。新居浜商が第2シードの済美を撃破。第3シードの新田は新居浜西に六回コールド勝ちした。

 九回2死走者なし。196センチと長身のアドゥワがマウンド上でしゃがみこみ、人さし指で黒土の上に文字を走らせた。

 「絶対勝つ」-。DeNA・井納が実践している“マウンド作文”を「自分もやってみようと思った」というルーティン。強い決意を記して立ち上がった最速145キロ右腕は、最後の打者を遊ゴロに打ち取りガッツポーズを決めた。

 「勝ってホッとした。バックを信じて投げられました」

 9回3安打1失点。春の県大会決勝で敗れた第1シードの川之江に雪辱を果たした。球速こそ143キロ止まりだったが、長身から投げ下ろす直球は威力十分。春の大会後に投げ始めたスライダーも相手打線を戸惑わせた。

 父はナイジェリア人で、母・純子さん(旧姓酒本)はVリーグの名門・ダイエーでプレーした元バレーボール選手。両親から受け継いだその高い身体能力には、プロも熱い視線を送る。ネット裏には9球団12人のスカウト陣が集結。ヤクルト・小川淳司SDは「体ができれば150キロは間違いなく出る。大きな可能性を秘めている投手」と将来性を高く評価した。

 チーム悲願の甲子園出場を狙う夏。「まだ2回勝っただけ。しっかり体のケアをして次に備えたい」とアドゥワ。破格のスケール感を漂わせる右腕に気の緩みはない。

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