田口2軍監督 イチ快挙に「すごい」

 1991年のドラフトでオリックスから4位指名を受けたイチロー。その年の1位がオリックス・田口壮2軍監督だった。そのかつての同僚が代表インタビューに答えた。下積み時代、自身もメジャーリーグでプレーした経験を踏まえ偉業をたたえた。

  ◇  ◇

 -まずは感想を。

 「言葉ないでしょう。すごいって言うしかないし、その言葉で片付けちゃいけないという気持ちもある」

 -入団時を振り返って。

 「一番最初に新人合同自主トレで彼の走ってる姿を見て、身体能力の高さをすごく感じた。18歳の子がこんな動きするんだって。それまでに見たことのないようなバネを持っていた。うわぁという印象は今でも覚えていますね」

 -取り組む姿勢、プロ意識で印象に残っていることは?

 「ほかの選手とどこが違うかと言われれば集中力とやる量は明らかに違いましたね。いつ自分がトレーニングをすれば一番、集中できて、効率的にできるかということを新人のころから考えていたと思いますよ。だから夜中にウエートしたりしていた」

 -高卒新人で?

 「そう。そういうことを検証していくと、彼はオンとオフの使い分けがすごかった。やるときはきっちりやる」

 -刺激を受けた?

 「もちろん。彼がやるなら僕もやろうと思ってました。(青濤館の室内練習場で)一緒の時間に打っていることもありましたよ」

 -メジャー経験者としてなぜ、イチローはこれだけの成績を残せたと思う。

 「成績を残せるというのはもちろん技術はあるんです。でも、ここまでの成績を残せるのは健康な体があってこそ。ここが一番重要。体の準備、技術的な準備。誰よりも時間を掛けて準備をしてきたからこういう結果になると思いますよ。そこはメジャーの選手もビックリしてましたよ。トレーニングの器具についても自分が最高のパフォーマンスを出すためにマーリンズの場合は、キャンプ地にトレーニングの機械が入るように部屋までつくってる。そうやってやってるのを周りの選手も見ているから、やっぱりみんな言いますよ。“そこまでするんだ”ってね。その昔、アレックス・ロドリゲスがイチローにウオーミングアップの仕方を聞きに行ったというのは向こうでも話題になっていた。そういうところはメジャーリーガーみんな、彼の準備に対するすごさというのは感じていると思いますよ」

 -ほかの選手から質問された?

 「どうやったらああなるんだ?っていうのはよく聞かれましたね」

 -なんと答えた?

 「準備してるよと。それだけのことはやっているし、こだわりを持ってやってる。誰よりも準備している選手はああなっていくんじゃないと説明していました」

 -メジャーリーガーもイチローを参考にしていたということ?

 「参考にしている選手もいますよ。ストレッチ一つとってもなんであんな動きしているのか?とか、彼らの意識も変わっていったと思いますよ。彼らにしてみれば、イチローの体を見て、そんなにできる選手じゃないと見えると思うんです。身長180センチ、体重80キロくらいでしょう。その選手があそこまでいくとは思わない。何かがあるに違いない。それは何なのかというのはみんな興味のあるところでしょうね」

 -42歳までプレーできている。

 「結局は誰よりも体に対して敏感だし、体に対して興味を持っている。自分の体を知っている。どこをどうすればどういう動きになるとか、アプローチに対して自分の体を合わせていける。ナショナルリーグに来て2年目でベンチにいることが多いでしょう。ナショナルリーグに後から行くのは簡単じゃないんですよ。(試合に)出るタイミングも分からないし、投手のところに代打で出るとかいろいろあるんですよ。出ないときはとことん出ないし。そうなると体調を整えることは難しいんですけど、その中で今のところ彼はケガをしてないですよね。すごいケガをしやすい環境なんですよ。ずっと出てる方が楽なんです。ずっと出てると疲労がたまってくることはありますよ。でも僕の経験上、出たり出なかったりの方が体はキツイんです。その中でどこにも何にも起きていないというのはそれだけ自分の体を知っているからだと思いますよ。今もマーリンズは外野手にケガ人がいるからイチローが試合に出られる。彼は体が強い。そこがすごいところ。毎年、周りがケガをしている。ケガをしないヤツが出られる」

 -この2年間がイチローのすごさを証明しているということ?

 「今年に関していえばパフォーマンスが上がってきているでしょう。去年の経験が生きている。まだまだ進化しているということですよ」

 -何歳までプレーすると思う?

 「本人は50歳までするって言ってるでしょう。今の感じを見てたらいくでしょう。見た目も変わらんしね。白髪やし。この先変わることないでしょう」

 -また、一緒にプレーしてみたい?

 「チャンスがあるなら楽しいなと思います。いろんな形があると思うけど。どういう形にしても彼と野球の話をするのは楽しいですよ。野球の話じゃない方が楽しいけどね(笑)」

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