高松商、復活準Vに聖地が沸いた

 「選抜高校野球・決勝、智弁学園2-1高松商」(31日、甲子園)

 高松商(香川)は延長十一回、智弁学園(奈良)にサヨナラで敗れ、56年ぶり3度目の優勝はならなかった。エース・浦大輝投手(3年)が10安打2失点と力投したが、チャンスで打線にあと1本が出なかった。昨秋の明治神宮大会に続く秋春連覇は逃したものの、2014年に就任した長尾健司監督(45)の下、ダイナミックな攻撃野球で快進撃。名門復活を十分に印象づけた。

 内角狙いの直球が甘く入った。延長十一回2死一塁。高松商のエース・浦の127球目だった。6番・村上にとらえられた打球が、中堅・安西翼外野手(3年)の頭上を越える。安西から主将の米麦圭造内野手(3年)、そして植田響介捕手(3年)へ。懸命のバックホームは及ばず、サヨナラの走者が生還した。

 夢に終わった56年ぶりの頂点。野手陣はグラウンドに崩れ落ち、エースはぼう然と立ち尽くした。打線が8安打1得点。浦を援護できず、米麦は「チャンスで1本打てなかった」と涙を流した。10安打2失点の浦は「負けてしまったら意味がない」とうつむいた。

 それでもアルプスの応援団は温かかった。20年ぶりの甲子園で見せた名門の復活劇。機動力を絡めた強力打線は、聖地のファンに強烈な印象を残した。

 「高商で一緒に甲子園を目指そう」-。中3の夏、早々と高松商への入学を決めていた浦が、LINE(無料通話アプリ)でつながっていた香川県内の有力選手を誘った。呼びかけに米麦や植田響、美濃晃成外野手(3年)らが応じた。「浦が行くなら」と、古豪の門をたたいた。

 時を同じくして、中学野球の指導で実績を残した長尾監督が指揮官に就任。ミスを責めず、自主性を重んじる指導法でチームを改革した。同監督が憧れていたのは、かつて蔦文也監督(故人)が率いた池田の「やまびこ打線」。パワフルな攻撃野球を植え付けられたチームは昨秋の明治神宮大会を制し、甲子園でも快進撃を続けた。

 「準優勝は素晴らしい結果だけど、やっぱり負けたら悔しい。勝ち切れなかったのが課題」と長尾監督。浦は「夏に戻ってきて、次は優勝したい」と前を向いた。高松商の夏の甲子園優勝は、1925、27年の2度。目指すは89年ぶりの頂点だ。新世代の高松商ナインは悔しさから立ち上がり、再び厳しい鍛錬に向かう。

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