オコエ衝撃デビュー驚速!驚肩!驚打!

 「全国高校野球・2回戦、関東第一12-10高岡商」(11日、甲子園)

 常識を超えた俊足と強肩に大観衆、そしてプロのスカウト陣も度肝を抜かれた。関東第一(東東京)のオコエ瑠偉外野手(3年)が衝撃の全国デビューだ。走っては一塁強襲内野安打を二塁打にする驚異のスピードを披露し、打っては大会史上2人目となる1イニング2本の三塁打をマーク。守りでも強肩を発揮して一躍、今秋のドラフト1位候補に躍り出た。

 これほど心を躍らせる高校生には、なかなかお目にかかれない。4万3000人の視線を一身に集めたオコエが何かをする度に、耳をつんざく歓声が沸き起こった。抜群のスター性を持ったドラフト候補が、衝撃の全国デビューだ。

 まずは初回、先頭の第1打席、一塁線へ痛烈な打球を放った。一塁手が捕球できず、横へはじいた瞬間に「行けると思った」。ファウルグラウンドを転々とする間に、鮮やかに二塁を陥れた。

 並の選手なら強襲内野安打で終わる打球を二塁打にした。その余韻が消えない三回には、1イニング2本の三塁打。特に2本目だ。2死満塁から右中間を深々と破ったが、一塁走者が本塁へ生還する前に悠々と三塁へ到達。驚がくのスピードで高校野球ファンの心をわしづかみにした。

 守備でも魅せた。四回に三塁手への送球がはるか頭上を越え、ベンチ前のフェンスに当たってスタンドに飛び込むハプニングも。圧倒的なスケール感に、阪神・平塚スカウトは「広い甲子園で栄える選手。新庄以上だよ。新庄は内野安打で二塁まで走れない。走塁センスもある」と絶賛し「間違いなく1位で消える」と断言した。

 2日前、オコエは夜の甲子園外周をランニングしていた際、3人の小学生に呼び止められた。「ありきたりな質問をされました」と言いつつ関西弁の会話を楽しみ、最後はハイタッチを交わして満足げに宿舎へ帰った。

 「関西の人は道を歩いていても避けてくれない。その姿に癒やされます」。意味不明?なトークが飛び出す“不思議ちゃんキャラ”も魅力の一つだ。

 打席に入れば、スタンドから大きな拍手が沸き起こり、「力をもらいました」。たった1試合でファンを虜(とりこ)にしてしまった男が次戦で何をやらかすのか、興味は尽きない。

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