“雑草軍団”大阪偕星が強豪倒し初聖地

 「高校野球・大阪大会決勝、大阪偕星学園4-3大体大浪商」(31日、舞洲)

 大阪偕星学園が大体大浪商に競り勝ち、1931年の創部以来、85年目にして初めて甲子園の切符をつかんだ。11年の就任後、猛練習でチームを強化してきた山本セキ監督(47)は「子どもたちに感謝したい」と号泣。雑草軍団が努力で栄冠をつかんだ。これで全国49代表校が出そろい、組み合わせ抽選は3日、大会は6日から甲子園で開幕する。

 涙が止まらなかった。マウンドに歓喜の輪をつくる教え子たちを見て、山本監督はベンチ前で泣き崩れた。寝食を共にし「自分の子供だと思って」鍛え上げた選手がつかんだ春夏通じて初の甲子園-。「信じられない。子供たちには本当に感謝の気持ちしかない」と声を震わせた。

 苦しいゲームだった。中盤まではピンチの連続。1-1の六回、1死三塁から4番・田端巧海捕手(3年)が「絶対に決めてやろうと思った」とスリーバントスクイズを決めて勝ち越し点をもぎ取った。2点リードで迎えた最終回には3連打で無死満塁のピンチ。1点差まで迫られたものの、浜口尚弥外野手(3年)の好返球などでしのぎきった。

 「これだけ練習してきたんだから。最後は野球の神様が見てくれたんだと思います」と語った山本監督。チームには中学時代に野球強豪校へ進学できず進路に悩んだ生徒がいた。強豪校で寮生活に適応できず転入してきた生徒もいた。

 「どこにも行き場所がない子供たちを預かって。生徒は全員、自分の子だと思って向き合ってきた」と山本監督。練習は日付が変わるまで付き合った。「お腹いっぱい食べさせてあげたいから」と野球部員に手作りの弁当を持たせるため、朝4時に起き、10キロもの鶏の空揚げを作った。

 食堂に布団を敷き、毎日2~3時間の睡眠で野球部を鍛え上げた指揮官。そのサクセスストーリーはまるで高校野球漫画「ROOKIES」をほうふつとさせるが「近いでしょうね。みんな同じ高校生なんだから努力すればできる」。そう信じて疑わなかった指揮官に、子供たちも必死についてきた。

 「監督が泣いてるところを見て本当に偕星に来て良かったと思った」と笑った主将の田端。たたき上げで激戦区の大阪を勝ち抜いた“雑草軍団”。夏の快進撃はまだまだ、終わらない。

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