「選抜高校野球・決勝、敦賀気比３-１東海大四」（１日、甲子園）

　寡黙な指揮官は目を赤くしながら喜びをかみしめた。優勝した敦賀気比（福井）の東哲平監督（３４）は、「本当に素晴らしいチーム」と選手をたたえた。

　東海大四（北海道）との決勝戦はピンチの連続だったが、エース平沼が粘った。「お前らほんまに勝ちたいんか。平沼を助けたれ」。ナインに奮起を促し、劇的な勝利を呼んだ。

　同期の東出輝裕（広島）らと春夏３度甲子園に出場した母校でつかんだ初優勝。背景には硬式少年野球の「オールスター福井」を一緒に設立した故小林繁さん（元阪神）との約束があった。

　オールスター福井の監督時代の０８年に母校からコーチの誘いを受けた際、小林さんから「行ってこい」と背中を押された。１０年１月に小林さんが亡くなった後も「日本一になる」という誓いを忘れたことはない。「絶対に約束を果たすと思ってきた。きょう、平沼には『優勝報告に行くぞ』と言って送り出した」。

　小林さんの教え子でもあるエースを信じて、つかみ取った優勝を墓前に届ける。