光星・中川 降板後も戦う「自ら伝令を」
「選抜高校野球・2回戦、大阪桐蔭4-1八戸学院光星」(26日、甲子園)
自分にできること-。八戸学院光星(青森)の中川優投手(3年)は、考え抜いて、体現した。マウンドを降りた八回には、2番手・呉屋が走者を許すと「気合を入れるために、自分が伝令を」と、ベンチからマウンドへ走った。
根っからの野球少年が、憧れのチームをやっつけるという使命を帯び、八戸学院光星の背番号1を背負った。
小学校時代、中田翔(現日本ハム)に憧れ、大阪桐蔭の地方大会なども観戦する“追っかけ”となった。
中学3年生となる2012年春と夏には、いずれも決勝戦で八戸学院光星を下す、大阪桐蔭の強さを目の当たりにした。「藤浪さんが『デカいなあ』と」という、中学生らしい印象と同時に、なぜか「全国一を倒したい」という気持ちが湧いてきた。
そしてこの春、巡ってきたチャンス。中川は前日までに考えた「内角攻め」を初回、敢行する。が、3死球などで2失点。
先輩のリベンジという思い、そして中学時代からの好敵手である大阪桐蔭のエース・田中の存在などが「力みにつながった」。やれることはすべてやっての敗戦。「他のチームが引っかかる球には手を出さない。(課題は)相手に当てずに攻める投球」。もう憧れではない。肌で感じた強さは、中川の成長を促す大きな教訓だ。