100年の時を超え…甦る最初の甲子園

 今年12月19、20日の両日、甲子園球場で第1回大会に出場した10校のOBが参加し『全国高等学校野球100周年記念大会』を行うことが、4日までにわかった。1915年8月「全国中等学校優勝野球大会」として豊中グラウンドで始まってから今年で100年。当時のカードを再現し、高校野球の“歴史と伝統”を次世紀の球児たちに引き継ぐ。

 数々の名勝負、名選手を生み出し、国民的スポーツとして圧倒的な支持を受け続けてきた高校野球。今春の選抜大会では“野球の生みの親”とも言える正岡子規が在学した愛媛・松山東が21世紀枠で82年ぶりに出場を決め、話題を呼んだ。そんな全国大会が始まったのはちょうど100年前の1915年。これを記念し、当時の出場校OBが中心となり、復刻大会を開催することになった。

 当時行われた「第1回全国中等学校優勝野球大会」(豊中グラウンド)に出場したのは、優勝した京都二中などの全10校(※注)。この中で「第1回以来全国大会に出場していない2校」の宇治山田OBと国泰寺OBが広島市民球場最後の年となった2008年に同球場で親睦を兼ねて対戦、さらに10年に三重県伊勢市の倉田山球場で2度目の交流試合を行った。ここから「100年目にビッグイベントを!!」の機運が生まれた。

 国泰寺OBで大会実行委員長を務める山本将司氏(49)は経緯をこう説明する。

 「07年のマスターズ甲子園にゲストみたいな形で呼ばれた。そのきっかけをつくったのが僕で、県工(広島工)の中に1人バッターボックスに立った。『自分だけじゃなく(国泰寺OBの)みんなを連れてこないとおえんのう』という思いがあった」

 この山本氏がまず宇治山田OB会に声を掛けて賛同を得たのを皮切りに、両校の関係者が残る各校OB会にもイベントの趣旨を丁寧に説明、最終的に10校すべての内諾を得た。

 約4年に及ぶ“下準備”を経て、昨年11月16日に秋田を除く9校の代表者が「マスターズ甲子園」が行われていた甲子園球場に参集して初めての会議を開き、大会名を『全国高等学校野球100周年記念大会』(主催=第一回全国中等学校優勝野球大会に出場した10校の野球部OB会)に決定した。開催日は12月19、20日で、100年前と同じ対戦カードで計5試合を行う。また、使用するユニホームも当時のものを再現する予定で、ほぼ全校のデザインが出来上がっている。

 山本氏が「しょせん素人なんで、2日間の運営をどうするか。広告代理店もついていない素人で手作り感がいいかもしれないが、実りのある大会にしたい」と言えば、同氏と共に主導的な役割を果たしてきた宇治山田・田畑吉春OB会長(49)も「この大会を行うことで高校野球の素晴らしさを後輩たちに伝え、次の100年につなげられたらと思います」と話した。

 「高校野球100年」のラストを飾る厳冬のイベントで、聖地がまた熱く燃え上がるのは間違いない。

 (※注)◆第1回全国中等学校優勝野球大会 1915年8月18日から23日まで行われた「第1回全国中等学校優勝野球大会」には、全国9地区の予選に参加した73校の中から勝ち上がった秋田中(現秋田)、京都二中(現鳥羽)、三重四中(宇治山田中=現宇治山田)和歌山中(現桐蔭)、神戸二中(現兵庫)、鳥取中(現鳥取西)、広島中(現国泰寺)、高松中(現高松)、久留米商の9校と、春の東京都下大会に優勝した東京の早稲田実の計10校が参加した。

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