フリーエージェント（ＦＡ）権行使の申請期間終了となった１１日、オリックスの金子千尋投手（３１）が今季取得した国内ＦＡ権を行使することを表明した。鳴尾浜で日米野球の練習に参加した金子は「すべての可能性を考えたい」と話した。ポスティングシステムによる米球界挑戦の希望も抱いており、今後の動向に注目が集まる。

　メジャーへのポスティング移籍もにらみ、金子が決断を下した。この日午前７時半、オリックスの瀬戸山隆三球団本部長に電話を入れ、国内ＦＡ権行使の意向を伝えた。

　鳴尾浜で練習に参加した金子は「まだ日米野球中なので、そちらに集中したい。終わってからしっかり考えたい」と話した。

　大阪市内の球団事務所で対応した瀬戸山本部長は「残念。宣言残留へ向け誠意を持って交渉を続けたい」と話した。これまで３度の直接交渉を行い、３年総額１５億円などの条件を出したが、結論は保留のままだった。

　今オフのＦＡ権取得選手の目玉とされる金子は、巨人などが高く評価。ただし、本人は昨オフ、契約更改交渉で球団にメジャーへの興味を伝えていた。

　今年は１０月末にサンフランシスコでワールドシリーズを観戦。ポスティング移籍の要望については「日米野球が終わってから考えたい」と話していた。

　瀬戸山本部長は「ポスティングは考えていないと、金子君に言っている」と話す一方で「いろいろなことが出てくるかもしれない」と含みを持たせた。

　国内ＦＡ権を行使しながら、ポスティングの利用も視野に入れることは極めて異例。日米野球の成績、交渉の状況次第では国内、海外球団による「すべての可能性」がある争奪戦に発展しそうだ。