前橋育英・荒井主将“親子の夢”が結実

 「全国高校野球・決勝、前橋育英4‐3延岡学園」(22日、甲子園)

 思いを乗せた打球が三塁線を抜けた。3‐3の七回無死三塁、前橋育英・荒井海斗内野手(3年)が試合を決めた。優勝のお立ち台。主将で4番の孝行息子は、父・荒井直樹監督に「日本一の監督にするためにやってきたので、実現できて幸せです」、母・寿美世さん(49)に「日本一の寮母にしたいと思っていた。今までありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。

 99年に父は前橋育英のコーチに就任。荒井は3歳の時から学校のグラウンドで父を見てきた。小学5年の時には「6年後の僕へ」という作文で「前橋育英に入って甲子園に出て、お父さんを胴上げしたい」とつづった。

 02年に父が監督になると、母は父を支える野球部の寮母になった。毎朝5時に起床し、現在23人いる寮生の朝食を準備。4時間かけた買い物の後、夕食のために米4升を炊く。食後も選手のユニホーム修繕などの仕事があり、寝るのは日付が変わってからだ。父を「監督」、母を「寮母さん」と呼ぶ荒井にとって、両親への恩返しは「全国制覇」しかなかった。

 荒井監督は、息子が試合を決めたことに「誰が打っても一緒だけど、やっぱり素直にうれしい」と笑顔。アルプス席の寿美世さんは「いつになったら実感できるのか」と夢心地だ。

 「父を胴上げする」という夢は実現した。3人でつかみ取った深紅の優勝旗は、荒井の手の中で、家族の絆の分だけ重みを増していた。

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