使う道具は全てがオーダー! 徹底された〝川田仕様〟 驚きのこだわり「勝負服は自分で作っています」
数センチ、数ミリが勝敗を分ける世界。コンマ1秒の判断や動作の差によって結果が違ってくる。「いい状態で、いいパフォーマンスをすること」。そんな川田将雅騎手が使う道具は全てがオーダー。メーカーと打ち合わせを重ね、材質、規格、仕様と細部まで追求したオリジナルだ。「ストレスなく競馬ができるように。作っていないのは鞍と腹帯ぐらい。鞍はそのままだけど、アブミはオーダー。何から何まで全部。乗りやすいし、結果や安全性に直結する」と説明する。
JRAの騎手が着用する勝負ズボンやヘルメットも川田Jが製作に携わっている。「それまでは、現場の意見を伝える機会がないまま、それを使わない人が作っていたので。みんなが使いやすくしたものを作りました」。現場の意見を取り入れ、改良した商品が完成。それとは別に、自分の体や癖、動きに合致する“川田仕様”も作る。
驚きなのが勝負服だ。決まった会社で作られ、生地、サイズが同じものを厩舎で用意し、騎手が着用するのが普通と思っていた。「競馬に乗らない人が作ると肩の動きが制限される。動きの妨げになるものを着ていいわけがない。自分が多く乗せてもらう馬主さんの勝負服は自分で作っています。厩舎に提案する時はみんなに合うように。僕だけが着るのは僕に合うように。いいパフォーマンスを発揮するためには作らないといけない」と話す。
「業者に頼むほどじゃないものは自分で加工するんです」。見せてくれたのがヘルメットの中。「汗を吸うものを付けたり、細かな作業を。あごヒモは縫い付けることで伸びないし、緩まない」。ミシンも手縫いもするというから器用だ。
ファンが目にしやすくて特徴的なのは手袋だろう。黒の既製品が一般的だが、“川田仕様”は材質も色も違う。「水にぬれると滑らなくなる」という特別な布で、雨でも平気。晴れの日にグリップをより利かせたい時は、馬の汗を利用する。
肌色の理由も興味深い。「黒だと馬のたてがみ、首と同化して見えなくなる。(拳が)浮いてきても分からない。気づかなくなって自然と近くなる」。素手で試して違いを感じたという。「視界に入って目につくから“近いな。(拳を)もう1個向こうに置きたかったな”って。それ以外のことを考えないといけないし、手の位置がどうかなんて考える余裕がない。素手だと無意識にそれができると感じた」。湿度が高く、騎乗数の多い日本では素手で乗るのは難しい。白い手袋に肌色を着色し、「同じ感覚になった」と今に至る。
「無意識は大事」と川田はうなずく。五感で得た信号が脳を経て動きに伝わるのが“意識”なら、アスリートにとって“無意識”の必要性は計り知れない。「レース中は考えることがたくさんある。考えずにできることを考えずにやりたい」。答えはシンプルだ。無意識にできるよう、自分に合うものを作ればいい。「商売道具ですからね。仕事だから当たり前のこと」。以前に聞いた『風の使い方』も同じ。そこまで考えるか、徹底するか、とうならせる。やはり、勝つには理由がある。(デイリースポーツ・井上達也)
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