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近江に春呼ぶ「ガチャコン」

 鳥居本を発車する近江鉄道800形。最高速度は約70キロの車両が、270キロの東海道新幹線と“交錯”する
 八日市に停車中の近江鉄道の車両。(左から)100形、900形、800形 
 
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 湖東平野をのんびり走る列車がある。6月に開業120年を迎える滋賀県の近江鉄道は、駅や車両が懐かしさいっぱいの歴史ある地方私鉄だ。並走する新快速に抜かれようが、新幹線に抜かれようが我が道を走り続ける「ガチャコン」の魅力に迫った。

 ◇   ◇

 2両編成の電車が米原を発車すると、すぐに右側を並走するJRの新快速に追い抜かされた。しばらくすると、左側を東海道新幹線がビュンビュン追い抜いていく。

 だが黄色い電車は心地よく揺れながらマイペースで走る。その走行音から地元の人々は近江鉄道を親しみをこめて「ガチャコン」と呼んでいる。

 新幹線やJR琵琶湖線と比べてローカル感は否めないが、年間470万人(2016年)、1日あたり1万2~3千人が利用している。沿線には高校や工場も多く、地域住民の重要な足だ。

 黄色や水色などカラフルな電車はいずれも西武鉄道からやってきた。車内は西武時代の通勤電車の面影を色濃く残すが、主力の800形は、カーブが多い自社線を走行できるように車端部をカットしたり、独自のブレーキを取り付け、“ガチャコン仕様”にしている。

 「鉄道車両の寿命は約50年といわれてます。西武で30年走って、またここで20年頑張ってもらって…」と話すのは、近江鉄道管理部・広報担当の北原翔さん。琵琶湖のほとりで“第2の人生”を頑張る電車に会うために、関東からかけつける西武鉄道ファンも多いとか。

 日野駅から若い男性が自転車と一緒に乗り込んできたのにはビックリした。「サイクルトレイン」として時間帯や区間によって直接車内に持ち込めるそうだ。これなら途中下車して気ままな周辺の散策も楽しめそうだ。

 沿線には彦根城や多賀大社、近江八幡など見どころも多い。もうすぐ桜や菜の花も本格化。関西から気軽に行ける“ガチャコン”に乗って春を満喫しよう。

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