新井Jr.の進路に熱視線

 現在の亮規浩(右)と颯真
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 【9月8日】

 球界の各所から示し合わせたように僕のケータイが鳴った。あの報道は本当なのか?という類いだ。お父さんに聞きなはれ…とは言わなかったが、何だかニヤついてしまった。

 新井貴浩の長男で関学大4年の亮規浩(あきひろ)がプロ志望届を出す…先週そんな報道が流れた。これ、業界では注目度の高いニュースである。

 新井ファミリーからも連絡をいただいた。亮規浩本人が父貴浩に固い決意を明かしたようだ。お前の後悔しないようにやれ-。この世界の厳しさを知る父だけど、おそらく最後はそんなふうに背中を押したのだと思う。

 亮規浩をちっちゃな頃から知るこのおっちゃんからすれば、にわかに信じがたい。だって、彼、ごりごり野球をやってこなかったのだから。ふつう、プロを目指す子たちは幼いころから地元の強豪チームに入り、中学はシニアかボーイズ。高校は甲子園に手の届く名門で…それが王道だけど、新井家は息子をそんなふうに育てなかった。

 勉強が大事。良識、作法を大切に。幼稚園からピアノとバイオリンを習い、とくにバイオリンは高校まで続け、野球と掛け持ちで丸刈りの弓持ちだったわけだ。だから中学で始めた野球は部内で苦労したと思う。周囲よりヘタだっただろうから。でも、そこで音をあげず這い上がったところがエラい。

 父のように…そんな志が芽生えたのだろう。春先、本人と話したときには「上でやりたいです」と…。ええやんと思いながら公式戦へ足を運ぶと、今秋ドラフトの上位候補、立命大の有馬伽久から春も秋もヒットを打った。こんなこと書けば怒られそうだが、父の大学時代よりセンスを感じる。

 新井監督っ…いや、いまこのタイミングで息子の進路を聞くのは野暮か。甲子園にやってきた赤ヘルの指揮で頭がいっぱいだろうから、またドラフト前にでも胸の内を聞きたいと思う。

 アマ時代の実績の大きさと、プロで成功を収める確率は必ずしも比例しない。藤川阪神だって、いわば遅咲きのスターが軸を担う。近本光司、中野拓夢は大学社会人経由だし、佐藤輝明だって10代のころは全国ではまったくの無名。大山悠輔も大学4年で名が売れてきたが、高校時代は同級生の藤浪晋太郎や北條史也らを雲上のスターとして眺めていた。投手だってそうだ。たとえば、この日先発予定だった才木浩人にとって甲子園は手の届く場所ではなかったし、岩崎優は出身高校がサッカーの名門。石井大智にいたっては高専出身で将来野球で大金を稼ぐなんて想像もしなかったはずである。

 しかし、彼らは一様にプロの世界で億越えし、また、後進もそれに続けと頭角を現してきている。アマ時代に無名だった工藤泰成や木下里都…阪神は今や育成の雄、ロマンの源泉と呼ばれ…いや、僕が勝手に呼んでいるが、そういう意味でも藤川体制の成功は後世にその名声を轟かせることになる。

 しかし、そうか。プロ志望届を出した以上、新井亮規浩が将来タテジマに袖を通す可能性もゼロじゃないわけか…。=敬称略=

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