プロらしく素晴らしい姿

 2回、佐藤輝は遊ゴロで一塁へ駆け込む 
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 【7月18日】

 横田慎太郎が旅立って3年が経った。3度目の命日を迎えたこの日、横田の「マツダスタジアム初安打」を思い返した。あれは金本政権初年度の16年。彼らしいHランプだった。

 あの年初の広島遠征、その3試合目にスタメンの機会が巡った背番号24は初回にショートへのゴロを放って全力疾走、セーフをもぎ取った。ちなみに、このとき遊撃手田中広輔から送球を受けたカープの一塁手は新井貴浩だ。

 「あいつは、いつも全力よ」

 金本はそう評し、未熟ながら武骨な「教え子」をかわいがった。

 「全力走」の尊さを説いた当時の指揮官の期待に横田は目いっぱい応えたわけだけど、そんなイズムはファンの記憶にずっと…なんて思いながらマツダスタジアムの記者席で試合を追えばショートへのゴロでこれでもかと全力疾走する男が…。

 佐藤輝明である。

 二回先頭でこの気迫、熱気。横田の命日だから横田のように…というわけではないだろうけど、ダイナミックさが相まってカッコ良かったし、4番が攻のファーストプレーでこれをやることに価値があると思って見ていた。

 熱気といえば、世界の祭典、サッカーW杯北中米大会の決勝戦が日本時間あす20日の早朝に行われる。スペインとの大一番を前にアルゼンチン監督のリオネル・スカロニは「決勝でも、ぜひ、メッシを楽しんでほしい」。自国民のみならず、スペイン国民に向けてそんなふうに語った。「神の子」リオネル・メッシはそれくらい圧倒的な存在であり、サッカーファンすべてのアイドル。スカロニいわく「スペイン国民全てではないかもしれないが、多くの人が彼を愛していると思う」。

 スーパースターへの憧憬は様々な枠を越える。プロ野球でいえば、長嶋茂雄や大谷翔平へのそれが国民的であるように…。藤川球児もきっとそういうものを大切にしながら指揮を執る。

 そういえば、先週のヤクルト戦で2戦続けて失策した佐藤輝について問われた虎将はこんな発言を残していた。

 「何も考えることなく、ライトへ大きな放物線のホームランを打てばいいんじゃないですか?プロらしく素晴らしい姿で日々やってくれていますよ」

 どんな世界にも無二の存在がいる。比較するものではないオンリーワン。 メッシは今回のW杯でPKを2度外している。が、アルゼンチンの指揮官は「これからもメッシが望めば彼がPKを蹴る」と言った。プレーも存在もミスを取り返して余りあることは、全世界のサッカーファンが知っている。

 球界が横田を偲んだ夜、輝が彼を彷彿させる姿を見せた。疲労がこたえる盛夏の連戦で、先頭、走者無しの内野ゴロで全力走。Hは灯せなかったが、プロらしい姿は胸を打ち波動を呼ぶ。 チームの枠を越えてその打席を楽しみに待たれる存在になった。八回の打席ではハーンの速球が胸元へすっぽ抜けると珍しく怒りをあらわにした。ベンチでも激情を隠さなかった。3戦目のパッションがどんな形で沸き上がるのか。輝を見る者の心は弾む。=敬称略=

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