球児に聞く「雨の育成論」

 練習を見守る藤川監督(撮影・山口登)
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 【7月4日】

 夜10時を過ぎてから虎番のキャップらと食事に出かけた。甲子園から店へ向かう車中、テレビで「報道ステーション」を見ていると、サッカー日本代表監督の森保一が出演していた。

 W杯を終え、米国から帰国したばかり。「休まらんな…」などと言い合いながら、キャスターとのやり取りを聞けば話題は次世代の育成論に。

 日本代表にもヒーローが出てきてほしい。今後そういう選手はどうやったら出てくるのか。育成できますか?

 そんな趣旨のことを問われた侍ブルーの監督はこんなふうに答えた。

 「育成できるんですかね…。プレーモデルを作ると『金太郎あめみたいに同じ選手ばっかりしか出てこない』みたいなこと言われるんですけど…。ひとつ言えるのは、型にはめ過ぎずに選手の個性をしっかり見てあげることが大切なところだと思います」

 サッカーの方向性を明確にしても、金太郎あめ、つまり、どこを切っても同じ、個性のない選手が量産されるとは思わない。定型化することなく、その選手の独創性だったり、キャラクターを尊重する眼をもって発掘していきたい。そんなニュアンスだろうか。

 さて、こちら梅雨でどんどん試合が流れる阪神タイガースにおいて、秋の窮屈な連戦が憂鬱にもなるが、あえて「恵みの…」と呼んでみればどうか。 台所事情にストレスがかかる時に日程が延びる。いいじゃないか。これをヒーロー誕生までの時間稼ぎと考えるのだ。半人前だった新戦力が夏から秋にかけてブレークする。そんなうまい育成神話は生まれないか。いや、指揮官の藤川球児はきっと期待している。

 試合が先延ばしになることで、逆にポジティブな要素も生まれる?そんなふうに聞いてみれば、虎将は言った。

 「今のタイガースが持っている選手たちの全体像で言えば、経験豊富な選手と、全く経験のない選手というのが選手層で二分化されていたわけですから、そこの中で、いかに戦える選手になっていってもらうかという部分は、未来を作る上ですごく重要なこと」

 デビューしたばかりの今朝丸、下村、さらに早川、工藤、木下らの名を挙げたが、彼らはパフォーマンスに個性が漂うヒーロー候補であり、このたび支配下契約を結んだ神宮僚介にとっても、この一見憂鬱な順延が味方することになるかも…。球児は続ける。

 「野手に関しては、戻ってくる戦力として近本という選手がいますけど、新たな選手で言うと、立石、岡城、あとは昨年少し経験した豊田、前川…。数が限られますからね。どうしても時間はかかりますけど、雨でゲームが流れてくれると、打てなかった経験であったり、ヒット1本を検証する時間を取ることもできますし…。コーチと共に次対戦するであろうところにもアプローチをしかけられるという意味では時間がありますよね。福島もそうか。ミスもあったけど、それを1つずつ改善する時間にあてられたり…」

 そんな話を聞けば、雨も悪くない。量は限定されても、藤川阪神には他が羨む良質の候補生が揃う。=敬称略=

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