球児の「水のやり方」
【6月6日】
花に水をやるとき、あなたはどこにやりますか?小学生のなかには「葉っぱ」や「花びら」と答える子もいる。鉢植え?僕は根っこにやる。けれど、それをいつ習ったか覚えていない。
楽天戦の前に西宮市内の小学校へ行ってきた。子供のオープンスクールで拝見したのは6年生の理科の授業。先生が冒頭こんなふうに黒板に記した。
「根から取り入れた水は植物の体のどこを通って体全体にいきわたるか」
根から茎を通って、枝、そして葉っぱかな。でも、そもそも、水が下から上へ吸い上げられる理屈がよく分からない。答えは次週までの宿題?先生から聞きたかったけれど、仕方ないか。
さて、こちら「ヒーローズデー」と銘打った甲子園の交流戦は立石正広が決勝打でヒーローになった。いくつも壁を乗り越え大輪の花を咲かせてもらいたいルーキーだ。
プロ野球で若い力を下から吸い上げるプロセスは指導者によって様々である。現在進行形で育む選手が花を咲かせるかどうかなんて、今すぐ分からない。みんな世界に一つだけの花。陽の当て方も水のやり方も異なる。例えば同い年でも立石と前川右京では違う。立石の一撃に拍手を送る右京を眺めながら思う。球児はこのふたりをどんな花に育てるのだろうか。
一方、水やりに苦心する楽天を思えば、この球団が創設された翌05年に交流戦がスタートしたことが懐かしい。
初年度のマッチアップはホーム&ビジターの6戦で阪神の5勝1敗だった。あの年の虎はセ・リーグのVチーム。新規参入球団にとっては手ごわかったと思う。当時、甲子園Rは阪神が3タテし、その3戦とも球児が登板。2戦目、3戦目を通じて6者連続三振を奪うなど格の違いを見せつけた格好だ。 が、「今思えば…」を書くなら、あの3連戦の野手の殊勲者はA・シーツ、今岡誠、桧山進次郎。助っ人と30歳超のベテランが軸で、その先10年に期待を持てる若い芽が乏しかった。
あれから21年。球児率いる猛虎は楽天に2連勝を飾ったわけだが、2戦の決勝打は佐藤輝明と立石正広。脂の乗った27歳と新星の22歳。スタメン、ベンチ入りメンバー、ファームを見渡しても05年とは様相が異なり、藤川阪神が描く開花の景色が伝わってくる。
最後に森下翔太の暴言退場にも触れる。今まさに花を咲かせる25歳の振る舞いについて球児は言った。
「こちら側できっちり収めていきたいと思いますし、ファンの方にはあまりそういうことがないように努めなければいけないというふうに、私は考えます」
森下をどんな色の花に育てるのか。
昔から数々「腫れ物にする不幸」も見てきた指揮官だから「収める」筋道は心得ているに違いない。僕の見解を格好つけずに書けば、審判の諸々のジャッジで、ぶっちゃけ、こちらから見ていて思うところはある。が、森下にはあえて「負けるな」と言いたい。ファンは1秒たりとも森下が不在のフィールドを見たくない。なくてはならない花であり、華だから。=敬称略=
