大卒隆盛の時代に輝け

 【5月23日】

 大卒の就職率がハンパなく潤っているという。おととい文科省と厚労省が26年春に卒業した大学生の就職率が98・0%だったと発表した。超氷河期世代としては羨ましいかぎりだ。

 少子高齢化が深刻な状況で新卒者が退職者の穴を埋めきれない状況が続いているという。そういう意味では世間の波に逆行しているのが阪神である。 世代交代を成功させる猛虎においてその象徴は誰だろう。大山悠輔、佐藤輝明、森下翔太…大卒でタイガースの「要職」に就いた彼らもそうだが、今年もスーパーな新卒が加わった。

 また立石正広が打った。五回のチャンスで先制の2点打である。三回のチーム初安打は追い込まれてから変化球を打ち、決勝打は追い込まれてから直球を捉えた。巨人先発のF・ウィットリーは来日後「最も熱心に研究したチームが阪神」だったそうだけど、データが「ない」に等しい背番号9に唯一マルチ安打を喫したものだから、ドームの天井を仰ぐしかない。

 「データの視点」で試合を追えば、おもしろいシーンがいくつかあった。

 ひとつは一回裏。木浪聖也と高寺望夢の連携がうまくいかず、浅野翔吾の飛球を譲り合いピンチを招いた。その後、1死三塁とされると、監督・藤川球児は前進守備を指示。初回から「1点もやらない」シフトで構えたわけだが、見事にハマったかっこうだ。

 この戦況で村上頌樹が吉川尚輝をフルカウントから一塁ゴロに封じ、大山悠輔がバックホーム。三塁走者の浅野を本塁で封じたわけだが、あそこで敵将の阿部慎之助が「ゴロゴー」のサインを出していたのは意外だった。

 次打者はB・ダルベック。村上から2本塁打、阪神戦打率・387の4番である。吉川でダメでも2死三塁で主砲に任せるか。そう思っていたら浅野を突っ込ませた。「確率」「データ」を優先すれば「虎キラー」の助っ人に託しそうなものだが、巨人担当によれば、試合後、阿部は言ったそうだ。

 「(村上を打ち崩すのは)難しいという判断で追い込まれた瞬間にそういうサインに切り替えました。先制点、やっぱ絶対欲しかったんで」

 これは想像だけど、巨人の分析班によるアナリティクスが導いた作戦だったようにも思う。ここ数試合、村上の状態が登板の度に上がっている。コースを間違えない本来の姿に…。戦略上そんな報告が共有されていたはずだ。

 ほかにも敵将が確率論を採って裏目に出たといえば、六回もそうだった。1死一塁で先発ウィットリーに代えて高梨雄平をマウンドへ。ここは高寺、木浪と左打者が続く局面で変則左腕をぶつけたわけだが、この継投が失敗に終わる。結果的に高寺、木浪の連打で阪神が加点したが、当欄は代わりばなで敵将の継投策を潰し、貴重な追加点をもたらした高寺を殊勲者に挙げたい。初回の連携ミスを木浪とともに取り返した。それもまたドラマだ。

 そういえば、このゲームの両軍スタメンで高卒は巨人浅野、阪神高寺、この2人だった。大卒隆盛の虎で輝け望夢。=敬称略=

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