新井貴浩に聞く「目立つ」の意

 【2月17日】

 カープ監督の新井貴浩が鬼の形相になった。そう聞いていた。例の件、以降の話だ。ふだん温厚な男ほど逆鱗に触れたらヤバい。そんな定説を踏まえれば、今は会わないほうがいいか…。

 いや、そんなことで避けていたら取材にならない。というわけでカープのキャンプベース沖縄市へ行った。が、タイミングが良かったのかどうか。カープ選手が絡んだ指定薬物の件で広島地検はこの日、同容疑者を医薬品医療機器法違反の罪で起訴した。そうか。17日が拘留期限だったのか…。選手を「家族」と呼ぶ指揮官だからその胸中は察するにあまりある。噓であってほしいと今も願っているはずだけど、チームを束ねるリーダーは難所を乗り越え、静かに山を動かさねばならない。

 その新井は表情を変えることはなかった。コザしんきんスタジアムで見させてもらった楽天との練習試合は17安打10得点で大勝。ドラ1の平川蓮が非凡であることはよく分かったが、阪神目線で聞きたかったのはスタメンの布陣について。二遊間のそれを見れば、ともにルーキー勝田成(3位=近大)と西川篤夢(6位=神村学園伊賀)。フレッシュな顔ぶれだった。菊池涼介は少し足を痛めたという報道を見たけれど、ショートにいるはずの赤忍者もいない。新井に聞きたかったのは、その矢野雅哉についてだ。

 矢野は2軍キャンプ地の宮崎日南で汗にまみれているという。彼を沖縄キャンプへ連れてこなかった理由について新井のこんなコメントを数日前のデイリースポーツで読んだ。

 「目立っていなかったから」

 彼は守備だけでも十分目立つのでは…。というか、ぶっちゃけ彼がショートにいないのは助かるが、そのあたり新井にぶつけてみた。やはり打撃面?シート打撃が物足りなかったとか?

 「結果だけでいえば、最後のほうに1本打ったのかな。ただ結果だけじゃなしに、内容ももちろんそうですし、新しい選手たちが矢野よりもいいものを見せてくれたので必然的にそうなったということです」

 新井はそんなふうに説明した。顔つきはこれまで通り穏やかだったが、一方で、僕に語った言葉は一切の甘味なく、ドライだった。

 「矢野に限らず、チャンスはあるうちに掴んでおかないと、ちょっと期待感のある将来性のある野手が入ってきたら、そちらへどんどんチャンスが移ってしまう。いつまでもチャンスがあると思ったら大間違いなんでね。それがプロ野球の世界ですし。純粋に勝田らのほうが目立ったということです」

 これ、咀嚼すれば若い力を重宝するというものではない。要は戦力になるかどうか、シンプルな比較論だ。

 翻って阪神だが宜野座から届いた藤川球児のコメントは平常運転だった。週末のオープン戦へ向け、谷端将伍ら「若手」の用兵について問われた虎将はこんなふうに言ったそうだ。

 「若手というくくりはないですね」

 両軍のリーダーが天秤にかけるのは年齢の軽重ではない。力が確かに目立つかどうか。その一点。=敬称略=

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