右京の母を知る母の想い
【5月10日】
前川右京には「西宮の母」といえる存在がいる。右京が阪神からドラフト指名され入団が決まったときには、その「母」から「風さん、右京のこと宜しくね」と、お願いもされた。
智辯学園時代の親友の母親で右京が高校生の頃から慕っている方である。僕と同年代に見えないほど若々しく、見た目でいえば、「母」というよりは「お姐さん」かも…。縁あって吉田家も家族ぐるみでお付き合いさせてもらっているが、気品もあって気前も良く…。右京は親しみを込めてファーストネームの「さん付け」で呼んでいる。
右京も遊びに行ったことがあるその方の邸宅は西宮の山手に……いや、プライベートな話はこのへんで。
その方にとって、三重出身の右京は息子と同い年の親友であると同時に、我が子のように、まだまだ心配を寄せる存在でもある。智辯学園の保護者会時代からずっと右京の親御さんともよく連絡を取り合う仲だと聞いていたので、この季節に合わせて聞いてみた。
「右京のお母さん?そうね…。なんていえば伝わるかな…。本当に穏やかで、優しくて。『怒』とは真逆のイメージというのかな…」
右京が高校野球ファンを沸かせた21年夏の甲子園はコロナ禍真っ只中で、僕はこの方の近しい関係者としてスタンド観戦し、智辯を準優勝へ導いた右京の活躍を見させてもらった。
ところで…「甲子園」「母」で思い浮かべるのは、昨春小学館から発刊された書籍『アルプス席の母』(早見和真著)である。高校球児を子に持つ親にとってこの本は「あるある」「分かる分かる」の連続であり、僕もその経験から思わず何度も頷きながら読み返したわけだけど、ぶっちゃけ「アルプス席の母や父」の中には、まあまあ癖の強めな方々もいらっしゃるし、その描写がまたリアルであまり笑えないのだけど、一方、前川母は…
「あのお母さんを見れば、右京のことを本当に心の底から応援したくなる…そんなお母さんなのよ」
「西宮の母」はそう言う。
分かる。いてはるんです、そういうお母さん…。そんな母の背中を見ていると、その息子さんのことも応援したくなる…それもめちゃくちゃ分かる。
村上頌樹がいわゆるマダックスで完封勝利したこの日、右京は第1打席で高橋宏斗の153キロをレフトへ運び、3の1。全打席、逆方向への意識を見て取れたが、智辯学園の後輩として…でなくとも、できれば複数安打で得点に絡みたかったに違いない。
今カードの前まで直近の出場5試合は19打数1安打と本来のバッティングが影を潜め、前カードの巨人戦は第2戦でスタメンを外れた。
8番、レフト。
この日の打順が似合うポテンシャルじゃないことは、指揮官の藤川球児が一番心得ている。
きょうは「母の日」である。TORACOデーの主役は先輩に譲ったが、「故郷の母」へ報恩を誓う日にこそ感謝を力に変える。そんな右京を「西宮の母」も見守っている。=敬称略=
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