読売目線を欲した月曜日

 【4月7日】

 コンビニで読売新聞を買った。阪神に3タテを喫した巨人軍を親会社はどう報じているか。今回に限らない。関西の紙面、その見出しに虎、虎、虎…と並ぶ日はそうじゃない目を欲する。

 カラーのスポーツ面トップは「負け巨人」。読売の読者目線だから当然そうなる。「石川 四球に泣く」-。これが一番大きな見出しで、門別啓人の「プロ1勝」はその脇に載っていた。

 一週間前にプロ初勝利を掴んだ石川達也に今度は厳しい現実…メイン原稿はそんな書き出しで、指揮官の阿部慎之助が「ローテ再考」を示唆したという。石川にとっては発奮を促される論調だ。5回1失点、被安打はたった1本。結果的に前川右京への押し出し四球がなければ…厳しい世界である。

 たった1本…いや、その1つが特に若い選手にとっては死活問題になることをこれまで幾度も見てきたので安易に「たった」とは書けない。阪神目線でいえば、G3タテの決勝点を挙げた前川にあっぱれの日曜だったけれど、記者の目線で書けば、あまり放置したくない前川の1本があった。

 藤川球児がリクエストした二回2死のプレーだ。前川は三塁左へ放った打球で一塁へ駆け込み、タイミングは僅かな差で内野安打に見えたが、判定はアウト。リプレー検証でもひっくり返らなかった。モニター映像をコマ送りで見返せば、前川の足が早く見える。

 先週のDeNA戦でもファンの怒りを買うジャッジがあった。9試合を終え、はや幾つか浮き彫りになった判定への、そして、判定システムへの懸念がある。人間味の要素も醍醐味だし、「これも野球!」なる感覚を個人的には持っているほうだけど、モノサシはある。誰でもミスをする。しかし、そこに心が通うカバーがあるかどうか。

 「リクエスト」制度が正式に導入されて7年目。その根っこを真面目に議論すれば、MLBのようなオペレーションセンターの整備ほか年々洗練されてしかるべきだが、費用など、諸々の内情でシステムの進化は滞ると聞く。だとしても、子どもでも判る不可解な判定は、どうか大人が心を通わせ、減らす努めを怠らないでもらいたい。

 G党目線で買った読売新聞だけど、ハッとさせられたのは特別面…「全国中学ビブリオバトル決勝大会」の優勝原稿だ。中学生がお気に入りの一冊を紹介し、会場の投票で「最も読みたい本」を決める書評合戦だけど、今大会を制したのは宮澤章二の詩集『行為の意味』(ごま書房)を紹介した大阪の野球少年だった。「自分は劣っている…」と挫折し、野球部をやめたくなったとき、この詩の一節を読んで踏みとどまったという。

 心はだれにも見えないけれど

 心づかいは見えるのだ-。

 誰がどう見ても日本プロ野球の判定システムには欠陥がある。審判、そして、NPBも分かっている。できない理由ばかり語っても始まらない。現状その条件で運用を続ける限りは目いっぱいの行為、心づかいを示さなければファンは冷める。具体的には…また近いうちに書きたい。=敬称略=

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