有意義なニアミス?

 【12月18日】

 森下翔太がハワイで金本知憲とニアミスしたという。優勝旅行と同時期に名球会のイベントが開催されるので岡田彰布と鳥谷敬がワイキキでばったり…なんてこともあるかも?

 そんなふうに前回の当欄で書いたけれど、聞くところによれば、やはり、猛虎のV戦士と名球会のレジェンドがコミュニケーションを取るシーンも見うけられる。

 V旅行中にこういうエピソードがあれば、取材記者にとっては美味しいネタになるのだ。

 「とてつもない記録っすね…。ほんと、考えられないです」

 森下は、金本が現役時代に樹立した世界記録、1492試合連続フルイニング出場について感想を求められると、そんなふうに返したそうだ。

 「金本さんみたいな、ケガに強い選手でいたいなと思います」

 森下はそうも語ったというが、

この発言に一つ補足しておけば…

 カープ時代からフルイニング出場の歴史をほぼほぼ取材してきた者として言い切れるのは、金本の一番のストロングは、実は「ケガに強かった(耐えた)」ことではないということだ。

 〈毎試合フルイニングで全力プレーを続けてもケガをしないための準備力〉に長(た)けていた…それが鉄人たる本質ではなかったか。例えば、金本が最も誇りにする1002打席連続無併殺の日本記録は、当然「一塁までの全力疾走」が前提になる偉業だけど、全力を貫くための努めを想像すれば分かりやすいかもしれない。

 毎回100%で一塁を駆け抜けるのは、ケガと隣り合わせでもあり、仮に、肉離れのリスクを回避したければ手を抜けばいい。

 でも、抜かない。じゃ、どうするか。準備100の緊張感を保つこと…になる。

 万全の準備をしていても、ケガはする。ただ、もし、金本が一塁まで全力疾走しない選手だったならば?チンタラ走る選手だったならば?きっと、もっと早く現役生活を閉じていたし、1492試合の世界記録は達成できていなかったと思う。

 ある意味、逆説的かもしれないが、金本の場合、試合でケガするリスクを恐れなかった(犯した)結果、選手生命が延びた。

 僕の認識でいえば、大山悠輔はこれに倣っているように見える。

 ご存じのように、大山はグラウンドで「全力」を怠らない。そのために、準備のステージに緊張感を持たせる。今季、大山が全試合フル出場を遂げた要因でもある。

 試合中に一度でも緩めてしまうと、準備も緩みかねない。そんな発想ではないだろうか。

 「油断したくないんです」

 大山がいつもこのように語るのは、そういうわけだ。

 V旅行といえば、ゴルフ、海、買い物、観光…。そんな光景が浮かぶが、V戦士たちは時間を見つけてトレーニングしている。常夏の島で24年への準備を始めているのだ。大山も、森下も…。一年後またここで英気を養うために。=敬称略=

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