あの人は優勝旅行へ?

 【12月7日】

 いまのタイガースの選手にこの話をすると、みんなビックリするのだけど、確かにセキュリティーを考えても、大胆な時代だったな…と思う。甲子園球場が新しくなる前の契約更改である。

 昔は、球団事務所が甲子園球場内の外野側にあり、契約交渉に来る選手たちは、一般の方々が往来する球場外周の敷地、多くは事務所の目の前に愛車を駐めていた。

 だから、スター選手が契約にやって来ると、出待ちするファンもいた。帰り際も車に乗るまで間近でフラッシュを浴び続ける…なんてこともザラ。90年代のある年は新庄剛志が黒のランボルギーニチータで登場したものだから、目立つなんてもんじゃなかったし、某ドラ1の選手が奥様同伴で交渉に来れば、それも全て居合わせたファンにバレてしまった。

 きょうの紙面に佐藤輝明が愛車に乗り込む写真は掲載されない。SNSで広がることもない。クラブハウスの駐車場は関係者以外立ち入り禁止で、撮影NGでもあるためだ。今もまだ球団事務所が球場内にあれば…いや、その前に輝があの場所で愛車から降りてくる絵を想像できない時代ではある。

 それはさておき、今年は契約交渉が例年より早い。輝がこの日更改したように、主軸もどんどん登場しているが、それはもう近日中に出発する優勝旅行を控えているからにほかならない。

 V旅行といえば、個人的には想い出が尽きない。20年前、独身だった赤星憲広と豪州シドニーの遊園地へ行ってホンモノの大蛇を首に巻いたり、クルーザーに乗って互いの結婚観を話したり…癒やされるべきは選手なのに、こっちが存分に愉しませてもらった。

 今回18年ぶりのV旅行だけど、辞退者が何人かいると聞いた。加治屋蓮や石井大智、そのほかにも各々の事情によって行かない選択をしたそうだが、監督・岡田彰布の言う通りで、行くも行かずも、それはもう個人の自由。その選択をああだこうだ語って盛り上がるのも優勝した恩恵であり、加治屋が言うように、「今年はどうする?」みたいな会話を毎年のようにできるチームになることこそが、「常勝」軍の目指すべき高みだ。

 03年と05年でいえば、例えば、金本知憲は03年のV旅行は行ったが、05年は辞退。現コーチ藤本敦士もそうだった。あのときのメンバーを思えば、まさか18年間もVから遠ざかるとは誰も思わなかったはず。連覇を目指す第2次岡田政権の黄金期だから、ぜひ来年また同じ会話を聞きたい。

 それはそうと、フロントや背広組も優勝旅行へ??それこそ職員が全員行ってしまえば、こっちの業務が滞ってしまうので、行く人残る人それぞれだが、個人的には激務を遂行してきた球団本部長には癒やされてもらいたい…。

 取材の限り、オーナー杉山健博は行か(け)ないそうだが「来年は行きたい」と言っているかどうか。ちなみに85年のV旅行はファンも飛行機同便…そんな記事が残っていた。なかなか、今じゃ想像できない絵ではある。=敬称略=

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