読者の知らないMVP

 【12月14日】

 朝いつものように日経新聞をめくる。1面からひとまずトピックを斜め読みし、必ず目を通すスポーツ面は41面。え~っと、うん、無いな…と確認し、社会、文化面へ移る。この日もそうだった。

 無い。そう、阪神ネタである。新入団会見くらい載せてよと思うけれど、甘くない。関西スポーツ紙がこぞって1~3面で報じた猛虎の晴れの日を、日経は1行も扱っていないのだ。

 だから、日経しか読まない人はおととい阪神の新入団会見が行われたことを知らない(はずだ)。いずれにしろ、同紙の編集会議において「読者の需要にない」と判断されていることは確かである。

 何を書きたいか。

 阪神のルーキーには、ぜひとも日経サンが紙面を割くような選手になってほしいということだ。

 しかし、これ、実は結構ハードルが高い。景況を知るためにデイリースポーツを求める人がいないように、プロ野球、そして、阪神の記事を読みたくて日経を買う人はいない。つまり「野球なんて門外漢ですよ」という方々に、「でも阪神の○○なら知っているよ」と言われるくらいのタマになってもらいたいのだ。

 たとえば、藤川球児。

 森木大智が「超えていかなくちゃいけない」と敬意を表したレジェンドは日経読者だって知っている。森木が将来球児をしのぐ存在になれば、文句なしの全国区…それが当欄の願い…ということだ。

 球児がそうであったように、周囲に惑わされず、地に足をつけて日々、地道に…。

 ああ、出た。お節介。かれこれ20年以上、虎を見てきたものだから、心配症のオッサン記者はどうしても言いたくなる。でも、こんなふうに書けば、ありがたいことに球団各所から連絡をいただく。

 地道な練習は、読者にも、僕にも届きにくい。だからその類の情報はとても助かる。とりわけ近年は、鳴尾浜など球団施設のトレーニング場の競争がさらに熾烈になってきているという。

 地味な練習、トレーニングはみんなしんどい。おもしろくない。ときに愚痴を吐くこともある。それでも、近頃の「高卒入団選手」は、地に足をつけて強化指定のメニューを真面目にこなすそうだ。

 では、阪神の高卒選手で、いわば「トレーニング場のMVP」を挙げるなら??そんな話になると複数の球団関係者、スタッフから共通の名前が聞こえてくる。

 「MVP?小幡ですね」

 「野手では小幡。遠藤成もそれに負けじとやると聞いています」

 「高寺、藤田の名も聞きます」 ほう。投手では?

 「及川がすごく真面目にやる」 「西純矢は地道にやる選手」

 森木、前川、中川。今年の高卒新人にとって模範となる選手は多い。これは本紙読者に需要のあるトピックス。え?阪神ってそんなにしっかりした球団だっけ?心配症なオールドファンは疑心暗鬼かもしれない。取材の限り、そうなんです。だからこそ…。

 続きは次回。=敬称略=

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