愛しの9・15にV逸とは…
【9月15日】
V逸の9月15日である。
9・15…未だにこのメモリアルを愛しく思う。03年、星野阪神がリーグ制覇を決めた歓喜の日だ。そんな日付、よく覚えてるねぇ?G党に感心されるかもしれない。
そりゃ45回もリーグ優勝していれば、一つ一つ胴上げの日付まで覚えていられないか。10・8とか伝説の日は別にして…。
では原巨人のファンに聞いてみよう。03年10月7日といえば?? 45歳の巨人軍監督・原辰徳が退任をファンに告げた日付である。
「私は、夢の続きを胸にしまいこんで温め、宝物にして明日からまた生きてまいります」-。
この年のTG最終戦(甲子園)で、阪神球団から〈異例の〉退任セレモニーを設けられた原はマイクでそんなふうに挨拶したのだ。
星野仙一から「もう一度勉強して戻ってこい。くじけるな」と肩を抱かれ、悔し涙を拭った原の姿は今も目に焼き付いている。この年の原巨人は71勝66敗3分け。貯金5。第一次政権、しかも、就任初年度に優勝へ導いた指揮官が翌年3位でユニホームを脱ぐ…。いろんな意味で巨人軍は〈厳しい〉組織だと感じたわけであり…。
あの悔し涙から16年。4年ぶりに現場復帰した第3次政権で、いきなり優勝をもっていく(まだ、もっていってないけれど)。
原サン参りました…今はただ、そんな感情しか出てこない。
原という監督の「凄み」をよく金本知憲から聞かされたものだ。
一言で記すのは難しいけれど、いろんな意味で〈厳しい〉監督である。妥協を許さない厳しさ。信念を貫く厳しさもそうだ。
例えば、補強。どんだけヨソから獲ってくるんだ!大方の野球ファンは(もしかしたら、G党も)昨オフの巨人の大補強をそんなふうに揶揄したのではないか。
でも、どうですか?何を言われようが勝つんだから、やっぱ原サンは、すげぇ。これが〈世論〉の大勢では?巨人ファンの中に「こんな優勝要らないんだよ」なんてソッポ向く人いるだろうか?
負けて学ぶことがある。ときにそう語る敗者がいるけれど、それって、勝者が言うことだ。補強論者のオッサン記者は以前からしつこく語っているのだが、勝つ為の補強は企業努力である。今年なら丸佳浩を獲った巨人の勝ち。いみじくも、昨年の最終戦で退任の決まっていた金本知憲が、「そろそろ補強で勝たれたほうがよろしいかと思います…」と言い残して阪神を去った。仮に阪神球団が矢野政権の〈期限〉を、金本と同様、3年一区切りと考えているのであれば、それでも「育てながら勝ってくれ」というスタンスなのか?
当方はそんなギモンを取材しながら、この秋を過ごそうと思う。来年、再来年…「夢の続き」を妥協なく追い続ける原巨人がある限り、矢野阪神はそんな原巨人を上回らなければ優勝がない。それを突きつめて考える必要がある。
矢野は知っている。闘将の闘魂をもって、ようやく原巨人を倒した03年であることを。9・15にそんなことを思う。=敬称略=