石垣発…藤原恭大の育て方

 【2月14日】

 石垣島でこれを書いている。気温25度。快晴。球場を一歩飛び出せば、ザワワ♪ザワワ♪である。

 この日、宜野座ではデイリー代表取締役社長の改発博明が矢野の初陣を激励…いや、決して社長から逃げてきたわけじゃない。取材先の都合を最優先に考えた次第。

 2年連続で石垣へ来た理由?そりゃ会いたい人がいるから。そして、もう一つ。改発に教わった心得を社訓と踏まえており。ハイ。

 「読者の声に応えよ」-。

 とてもシンプルだけど、未だ、100点をとれた自信はない。

 「風さん、2月の今岡さんの記事、ありがとうね。阪神を離れられた後、どうされているか気になっちょったき、嬉しかったわ…」

 これは高知の鮨割烹「藤」の女将(おかみ)からいただいた言葉だ。毎年秋季キャンプで阪神の関係者が世話になる店で僕も常連。昨秋「また来年の2月、石垣からの記事、待ってるき」と依頼された。購読者の声に応えないわけにはいかない。滞在4時間の弾丸取材、行って参りましたよ、女将。

 「風さん、去年に続き、ありがとうございます。藤本コーチ、浜中コーチは元気ですか?」

 就任2年目を迎えたロッテ2軍監督の今岡誠(現・真訪)は開口一番かつての僚友を気に掛けた。 早朝7時15分のJTA便で那覇から飛んできた。仕事の邪魔しちゃいけないけれど、読者の声に応えるため、これだけは外せない。

 ついに打った黄金新人のこと。

 「あの振りは凄いです。追い込まれても、こんな振りですよ。18歳でそんなん、できます?ああ、もう誰も近寄るなよ…って感じです(笑)。寄っていきたくなるでしょ。ここにそういうコーチはいないですけどね。彼は経験だけです。経験して自分で考えること。こっちが何かを加えてやるとか、そういう選手じゃないですから」

 阪神がドラフト1位で指名した藤原恭大(3球団競合の末、ロッテ入団)である。今岡は高卒離れした藤原のスイングを身ぶりで示し、完全ノータッチを強調した。

 「井口監督がキャンプ2日目に公式コメントしました。『教えるな』と。監督が彼を認めたからですけど、内々で言っても、普通は公式で言わない。初日でそう思わせた藤原が凄いんですけどね」

 いわゆる逸材の育て方である。昔から「阪神は下手だ」と揶揄されてきたけれど、仮に藤原が阪神に来ていたらどう扱っただろう。今岡曰く「1、2軍で(育成の)方針を決めますけど、あとは何も言いませんよ。テメエで考えなさいというクラスの選手です。安田(尚憲)もそうです」だそうだ。

 「必ず育てないといけない選手に対して、指導者は我慢が大切だと思うんですよ。良かれと思って口を出してしまいがちだし、ずっと黙っておくのはしんどいですけど、いや、こいつに考えさせようと。あと、そういう選手に限らず僕が肝に銘じていることは、9対1なんです。9は『見ること』。『言う』のは多くても、1です」

 井口&今岡イズムで藤原の開花…楽しみに待ちたい。=敬称略=

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