12試合で3つ…その捉え方

 【3月17日】

 乗り継ぎで4時間も新幹線に乗ると、中年記者は腰がヤバい。筑後でソフトバンクとのウエスタン・リーグ開幕戦を取材し、前夜のうちに博多から名古屋へ入った。この時期はデーゲームばかりだから朝が早い。移動が重なると体がダル~くなるのだけど、そんな疲れだって虎が好ゲームをすればちょっと和らいだりするのだが…。

 きのうは阪神2軍監督の矢野燿大が掲げる「超積極」野球について、タマホームスタジアム筑後で見たものを、そのまま書かせてもらった。矢野本人が「見ていて面白かった」と語ったように、日本一軍団のエース千賀滉大(同試合先発)が相手でも、こんなふうに戦えば主導権を握れるんだ…というお手本のような攻め。ファーストストライクを積極的に狙うこともそうだけど、矢野イズムに欠かせないのは、やっぱり「足」。そして金本知憲にとってその「足」こそが、この2年間最ももどかしかったバリエーションと言える。

 いうまでもなく、一流投手と当たれば連打が難しくなる。例えば巨人の開幕戦を想像してみる。20安打した前日の楽天戦はともかくこの日ナゴヤドームで出た糸井&ロサリオの連弾もまずイメージできない絶対エースが相手だ。状況にもよるけれど、ミーティングやゲーム中の円陣で「何とか菅野を打ち崩せ」とやるのか、「風穴を開けよう」とやるのか。打てないし、風穴も無理…ではお手上げだから策を練るのだが、今年も金本はもどかしさと向き合うわけだ。

 さて、ここでデイリースポーツ記録部の手を借りて数字をひとつ。12試合で3つ…これ、何だかお分かりだろうか。阪神のオープン戦の盗塁数である。残念ながらというべきなのか、12球団ワースト。じゃ、読者の方に質問。今年のオープン戦、セ・リーグで最も盗塁しているチームは??あまり言いたくないけれど、阪神がここまで3戦3敗した…そう、ヤクルトなのだ。首脳陣がガラリと変わった燕は意識改革も進んでいるのか。ちなみに、セ・リーグで盗塁の多い順に並べると、【1】ヤクルト(11)【2】DeNA(9)【3】広島(6)【4】巨人(5)【5】中日(4)【6】阪神(3)-。

 本番前のこの数字をどう捉えるか。内野守備走塁コーチの久慈照嘉に聞けば「今からまた走れる選手が(2軍から)上がってくるし面白くなると思う」という。ちなみに2軍はこの日、1試合3盗塁(企図4)。僕の取材した前日は5盗塁だから、2試合で8盗塁。その中心メンバーは島田海吏、植田海、熊谷敬宥、江越大賀…。久慈のいう「走れる選手」が1軍の開幕を虎視眈々と狙っている。

 他球団の007も話題にする「虎の足」。彼らは阪神のスタメンを眺めながら「このラインアップで足、使えますかね?」と言うのだ。前述した一流投手との対峙でモノをいう「足」。例えば、ひとつの四球、ひとつの内野安打、ひとつの敵失から風穴を開けるには…。盗塁、そして走塁への意識改革で野球は変わる。ただし、それが簡単でないことはこの2年間を見ればよく分かる。=敬称略=

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