4000万と40億

 【2月5日】

 夢のある話をしたい。

 4億5700万円。

 唐突ですが、何の値段か分かりますか?実はこれ、メジャーリーグ選手会が公表した昨季メジャーの平均年俸。約397万ドルで一昨年から0・35%増えたとか。それでも上昇率は過去最低というから、やはり日本とはケタが違う。

 じゃあ、気になるのは日本球界。果たして、メジャーリーガーの平均年俸を上回るNPBの選手は何人いるのか。根気よく、セ・パ12球団のお給料を調べてみた。あくまで推定の公表額だが、実はたった1人しかいないのだ。年俸6億の黒田博樹が引退したことで、オリックス金子千尋の5億が2017年度のランキングトップ。2位がおかわりくん中村剛也の4億1000万。3位が鳥谷敬の4億だから、金子だけがメジャーのアベレージを超えたことになる。

 イメージでは5人くらいかなと思っていたので、あらためてスケールの違いが分かった。年俸1億を超えれば超一流なんて、ふた昔前の話。12球団で1億もらっている選手は78人もいる。2億、3億の壁を超えても、まだまだメジャーの平均以下。日本で一流になれば海を渡りたくもなるだろう。でも、1億円プレーヤーではメジャーへの扉はなかなか開けない。日本で4億を稼げるようになった鳥谷でさえ、メジャーで納得できる契約に至らなかったのだから。

 どこが夢のある話なんだ!と突っ込まれそうだが、ここから少し虎党をドキドキさせてみたい。

 この時期、日本のキャンプ地には複数のメジャー球団スカウトが訪れる。実は宜野座村にも来ていた。業界のルールで名前は伏せなければならないが、ある球団の環太平洋スカウトがブルペンで1人の投手に注目していた。

 「やはりメジャーでは角度がないと厳しいのですが、岩貞くんは角度がついているし、面白い。腕の振りも強くなっているし、将来的に楽しみ。いいですよ、彼」

 もちろん、岩貞祐太がすぐにどうこうなる話ではない。昨季10勝を挙げたばかり。まずは阪神でエースになるべき左腕だし、本人はメジャーのメの字も口にしていない。けれど、ここで唯一名前が挙がったことはポジティブに受け取れるし、励みにもなると思う。

 福留孝介が2007年に海を渡ったとき、シカゴ・カブスと4年総額約4800万ドルで契約したと伝えられた。日本円にして約53億。契約金などを除いた年俸は9億くらいだったそうだが、これぞアメリカンドリーム。誰だってメジャーを夢見る権利はある。

 今季年俸4000万の岩貞はよくメジャーの中継を見るという。

 「例えば、カーブを練習したいときはカーショーのカーブの投げ方を見たりしますよ。イメージがあったほうが投げやすいですし、まったく次元は違いますけど、頂点の人たちの映像を見て、イメージだけは持つようにしています」

 MLB最高年俸の左腕、クレイトン・カーショーの年俸は岩貞の100倍。40億を超える。=敬称略=

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