【虎番が書く阪神連覇秘話】野手最年長・伏見が貫く献身性と温かい人柄 言葉の壁「特に気にせず」助っ投と積極コミュニケーション
デイリースポーツ虎番記者が、球団初のセ・リーグ連覇を果たした藤川阪神2年目の秘話をリレー形式で明かす。
◇ ◇
何げないシーンだったかもしれない。だが自分の中では深く印象に残っている。8月25日から行われた敵地・バンテリンでの中日3連戦。試合前練習の開始前に、伏見が新外国人のガルシアと言葉を交わしていた。ガルシアはドミニカ共和国出身。伏見はスペイン語でコミュニケーションを取っていたのだろうと想像していた。
数日後、伏見に聞くと「大した会話じゃないですよ」と笑いつつ「スペイン語は分からない。英語で何となく」と、やりとりを明かした。プロ野球の捕手は外国人投手とバッテリーを組む機会がある。“言葉の壁”は、どうしてもついて回るものだと思っていた。しかし、本人の考えは全く違った。
「外国人選手だと思っていないので。一緒に野球をやっているから。同じ目標に向かってやっているので、特に気にしないですね」。その言葉にハッとさせられた。
もちろん、若手時代から円滑に意思疎通が図れたわけではない。「(外国人選手とバッテリーを組む機会は)大学時代もなかった。プロに入って最初は、どうしていいか分からなかったけどね。でも、やっていくうちに慣れました」と事もなげに話したところに、女房役としてあるべき姿を垣間見た気がした。
今季はルーカス、ドリス、セベリーノと1軍でコンビを組んだ。特に印象深いのは優勝争いが佳境を迎えた9月22日・ヤクルト戦(神宮)。伏見は九回に代打出場し、その裏からマスクをかぶった。同点の延長十回はセベリーノが2死満塁のピンチを招くも、最後は空振り三振。十一回に味方が勝ち越し、左腕の来日初勝利をアシストした。
翌23日は4打点と躍動して勝利に貢献。ヒーローインタビューでは「たまにはこういう日もあるんだなと思いました」と場内を沸かせていた。
移籍1年目のベテランは決して自らの好結果を誇ることがない。どんな時も投手陣の奮闘ぶりをたたえ、味方のプレーにも目を向けてきた。野手最年長のベテランが貫く献身性と温かい人柄も、連覇に欠かせなかった。(デイリースポーツ・向 亮祐)
