忘れない阪神・藤川監督の誓い「弱いチームのままじゃ嫌だ。タイガースで勝ちたいんです」 智弁和歌山・中谷監督が“弟”の連覇を祝福

 阪神が3日に2リーグ分立後、球団初のセ・リーグ連覇を果たした。かつて阪神に在籍し、現在は智弁和歌山の監督として今夏の全国高校野球選手権大会で優勝に導いた中谷仁監督(47)は、特別な思いで吉報を聞いた。選手時代は藤川球児監督(46)と苦楽を分かち合い、「弟のよう」という間柄。猛虎愛に満ちた後輩の素顔を明かすとともに、祝福とエールを送った。

  ◇  ◇

 中谷監督は若手時代に藤川監督と交わした会話を鮮明に覚えている。

 2000年代初めの安芸キャンプ。「宿舎で、赤星(憲広)さん含め3人で話していたときのことです。藤川監督が『僕はタイガースを強くしたいんです。弱いチームのままじゃ嫌だ。タイガースで勝ちたいんです』と熱く語っていた。当時から本当に、タイガース愛にあふれた人でした」。当時、阪神は低迷時期だった。チームを勝たせたい、勝利に貢献したい。まっすぐに思いをぶつける後輩に心を打たれ「僕らもうなずいて『強くしような』と話しました」と誓い合ったという。

 2人の縁は高校時代から。中谷監督が智弁和歌山の主将として1997年夏の甲子園で優勝し、高校選抜チームに選ばれて同年9月のブラジルに遠征した時のチームメートに1歳下の藤川監督がいた。「ホームステイ先や宿舎の部屋が一緒で、その頃から仲良くさせてもらっている。恐れ多いが、弟のような、家族のような思いで見てます」と30年来の付き合いだ。

 ポジション柄、2人でいる時間も長かった。投手・藤川の人物像を「マウンドでは“土佐のいごっそう”というか、高知の英雄、坂本龍馬みたいというか。豪快さがあり、勝負どころでどんどん飛ばしていくタイプ。でも繊細で緻密な面も持ち合わせていて、すごく気遣いができる。若いけれどすごい投手という印象」と述懐する。

 中谷監督は同年度のドラフト1位、藤川監督は98年度1位で阪神に入団。鳴尾浜の2軍施設で若手時代を送った。当時の阪神は10年連続Bクラスに沈み、決して強いといえない状況。2人も1軍でプレーする機会は多くなく「悔しさ、歯がゆさ、焦りを一緒に味わった」と、耐える時代を過ごした。そんな時期、冒頭のキャンプ地でのやりとりがあったのだという。

 時は流れ、藤川監督は阪神の指揮官として常勝チームを築いている。今季は終盤の7連敗など試練もあったが、ついに優勝を手にした。「人気球団を預かるというのは、本当に重い立場だろうと想像します。でも、彼は頭が良くてよく気が回る人間なので。しんどいことも多いと思いますが、頑張ってほしい」とエールを送る。

 今年は中谷監督も夏の甲子園でチームを優勝に導いた。「高校野球は教育の一環で、野球を通じていろんなことを学ぶのが第一」と、立場の違いはあるが「タイガースが勝つとプロ野球が盛り上がる。優勝は本当にうれしい。タイガースには長く活躍してほしいし、子どもたちが『将来、あの世界へ行けるように頑張ろう』と励みにする存在で居続けてもらいたい」と、古巣の快挙を心から祝福した。

 ◆中谷 仁(なかたに・じん)1979年5月5日生まれ、47歳。和歌山県出身。智弁和歌山の捕手として3度、甲子園に出場。主将として97年夏の甲子園で優勝。同年度ドラフト1位で阪神入団。06年に楽天、12年に巨人に移籍し同年に現役を引退。プロ通算成績は111試合で打率・162、4本塁打、17打点。14年に学生野球資格を回復し、17年4月から智弁和歌山のコーチ。18年8月に監督に就任し、21年夏と26年夏に優勝するなど甲子園に春夏通算9度導いている。

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