高校野球「7イニング制」賛成?反対?阪神選手にアンケート 導入議論中、現役プロの意見は 7割以上が「反対」も 改善案は?
8月22日に智弁和歌山の優勝で幕を閉じた、第108回全国高校野球選手権大会。今大会は審判の判定に対して映像で確認を求める「ビデオ検証」や、女性審判の活躍など新たな取り組みも注目された。そして今後、議論を進めていくのが「7イニング制」の導入。暑熱対策など、高校生や関係者のことを考えて議論されているが、プロ野球選手はどう感じているのか。阪神の主力選手を中心に、高校時代に7回制を経験した若虎にも意見を聞いた。
大前提として、頭ごなしに7回制を反対しようとしているわけではない。多くの選手から「この問題は難しい」という声が上がった。だからこそ、未来の高校野球や野球界がより良い方向へ行くために何ができるのか。現役のプロ野球選手が感じること、対策はあるのかを聞いてみた。
7割以上の選手が7回制に「反対」だった。「野球が変わってしまう」や「八、九回にドラマが生まれる」という意見が大半。実際に高校時代、甲子園で優勝経験のある村上(智弁学園)や豊田(東海大相模)は当時も終盤の逆転劇で勝ち上がった。
2人とも「7回制なら負けていた」と振り返る。村上は7回制になれば、選手層の厚い強豪校がさらに有利になると分析。「バットも変わって、ホームランも出にくくなった。最後まで粘って、1点をもぎ取る試合が多くなる。八、九回のしんどいところでの逆転が多いと思うので、7回制はしんどいんじゃないかな」と危惧した。
では、プロ野球選手が考える対策はあるのか。大山は「9回は大前提」としながら、「ドームも一つの案だと思う」と例を挙げた。ただ、自身が高校生の頃を振り返ると「甲子園がいいよね」と頭を悩ませる。「より良い方向にいけばいい」という強い思いはあるが、“正解”を導き出すのは難しいというのが本音だろう。
ただ、佐藤輝はドーム開催に賛成だった。「みんな甲子園でやるのは憧れだと思うんですけど、僕個人は甲子園への憧れはなかった。それより、全国の舞台で戦えることの方が価値のあることかなと思うんで」。夏の屋外球場は熱中症のリスクが上がる。そして、雨天中止による過密日程も問題視されてきた。聖地・甲子園という特別な場所ではあるが、ドーム開催も一つの改善策かもしれない。
一方、甲子園での開催を前提に改善案を出す選手もいた。下村は「大学のリーグ戦は春秋でやっている」と時期をずらすことを提案。及川は過密日程が体への負担を大きくしていると考え、「大会の日数を増やして、一日の試合数を減らす」ことを挙げた。熊谷はサッカーW杯の「クーリングタイム」を参考にし、「五回終了後の間もちょっと短いんじゃないかな」と休憩時間の確保を推奨した。
坂本はナイター開催を推す。「甲子園のナイターの景色ってすごいから」と実体験に基づいた意見だ。「ナイターの景色を見られる高校生は逆に貴重な経験をしていると思う。試合を午後4時開始ぐらいにして、逆に言うと醍醐味(だいごみ)になればいいなと。回を減らすんじゃなくて、そういう対応をしたからこそ高校生に得られるものに目を向けたら、もうちょっと寛容になるんじゃないかな」と新しい高校野球を提案した。
これから議論が進んでいくだろう。多くの選手が言うように、難しい問題だ。全国大会ばかりに目を向けているが、地方大会はどうするのか。日程を増やせば、阪神の公式戦はどうするのか。ドームはどこを使うのか。改善策にも課題はある。だからこそ、野球に携わる多くの人が意見を出し合いながら、最善の策を見つけ、より良い野球界になることを願う。
【主な阪神選手の意見】
◆村上(反対)「さらに選手層の厚いところが有利になると思います。少し力が劣っていても粘っていけば、8、9回のワンチャンスで勝てるというのもあると思う。暑さの問題で7回にしようというのだったら、会場を変えてみたり、そういうところにフォーカスするのがいいんじゃないかなと思います」
◆大山(反対)「いろんな意見があると思うので、より良い方向にいけばいいのかなと。でも9回は大前提ですね。ドームも一つの案だと思います。でも自分が高校生だったら甲子園がいいなとか。本当に難しいですよね」
◆坂本(反対)「いろんな技術がある中で、今ある枠組みの中で技術を磨いて、どういう風に勝負していくかということを考えて、みんなやっていってるわけだと思うから。その中で変えていいもの、変わっていくものもあれば、変えちゃいけない、変わらないでいかないといけないものもあると思う」
◆森下(反対)「プロが9回でやっているのに、7回にする必要もないと思う。9回じゃなかったら、野球というスポーツじゃなくなる。変えるのは論点が違うかなと思ってます」
◆中野(反対)「9回あってこそ野球かなと思います。選手の使い方も変わるし、出られない選手も出てくる。野球の面白いところは7回以降の緊迫したところで試合がひっくり返ることも多くあるので、7回だとちょっと短いかなと思います。今の方が暑くなって命の危険もありますが、甲子園でプレーするのはすごく意味のあることだと思うので、そこはなくさないでほしい」
◆才木(反対)「野球は9回のスポーツだから。暑さ対策をするなら球場を変えるとか、他にやることがあるんじゃないかなと思います」
