阪神・近本 2度目の優勝-これからは「楽しく野球がしたい」 自分で決めてきた人生「FAも自分で決めていきたい」

 「阪神2-0広島」(7日、甲子園球場)

 2年前とはまた違う優勝の味がした。阪神の近本光司外野手(30)がデイリースポーツ読者に向けて、特定の試合やシーンで何を感じていたか、何を考えていたかを明かす企画「余韻」。自身2回目のリーグ優勝を成し遂げたプロ7年目は通算1000安打、国内FA権取得と自身にとっても節目の年となった。人知れず抱えていた苦悩や悔しさ、38打席連続無安打の時の心境も告白。今後のチーム像や、プロ野球選手としてのビジョンも明かした。

  ◇  ◇

 デイリースポーツの読者の皆さん、阪神タイガースの近本光司です。(九回)先頭の小園の打球がセンターに飛んできたので、もうないかなって思っていたんですけど、最後また飛んできたので。それでゲームセットやったので、うれしいというか、ホッとするなという気持ちでした。2年前は最後11連勝で、あんまり実感がないまま優勝まで進んでいきました。でも今年は優勝経験がある選手もいるので、マジックも気にせず、最後まで自分たちの野球が落ち着いてできました。

 印象に残っているのは交流戦の7連敗です。逆転負けも多かったので「野球って難しいな」と感じました。個人的にはプロ通算1000安打が印象に残っています。甲子園で達成できたのは大きかったです。

 今季はスタメンで出ない日もありました。ところどころ体調が悪くてしんどい時があって。熱中症っぽくて試合中頭痛がすることも数回ありました。「健康でけがなく」を大切にしている中で、マネジメント不足を感じたのが反省点です。来年へ、もっと自分を理解していきたいと思います。

 成績も今年は「良かったな」と思えるものがありませんでした。春季キャンプでは、藤川監督が求めていることを体現できるシーズンにしたいと思っていましたが、あまりできませんでした。特に長打。得点圏でもっと長打を打てればよかったなと思っています。いろんな経験ができて、いろんなことを学べたのはよかったですが、成績は数字で見ると「大体そんなもんでしょう」って感じで。悔しいです。

 その中で良かった点もありました。今年は打撃のテーマが決まらず、日々アプローチを変えていたのですが、シーズンを通して打ち方が大きく変わることはありませんでした。これまではテーマがあったからそれに合わせて打ち方が変わっていたんです。でも今年は自分の中での意識は変わっていても、周りからは「あんまり打ち方が変わっていないね」と言われていました。

 ちょっとだけメーク変えたけど、周りからしたら「何も変わってないやん」と思われるみたいな感じです。逆に言えば、それはちょっとだけ変えればいいっていうこと。悪いのを良くするためには一気に変えなきゃいけないので。ブレ幅が少なくなってきているのは良かったです。だからシーズン通して割と安定していたのかなと思います。

 8月は自己ワーストの38打席連続無安打もありました。まさかここまで続くと思っていなかったです。それでも打ち方や意識を変えることはしませんでした。大事なのはメンタルを保つこと。「もう分からん」ってなることはなかったので、そんなに気にはしていなかったです。

 40打席のうちの1本打ったとします。今までだったら20打席で1本出て、そこからまた20打席打てなかった可能性もあったと思うんです。今回は、途中の20打席目の1本がたまたま捕られてアウトになったと考えていました。無理して打ちにいく方が状態を悪くすると思います。だからなんとか我慢して、フォアボールでもいいからチームのためにと思って打席に立っていました。

 メンタル面のことは妻には話していました。その中で改めて感じたのが「結果が全てじゃない」ということと「折れない心」。これはいつも自分が子どもに言っていることです。家族や信頼できる人たちがいるから頑張れると改めて思いました。それでもやっぱりヒットが出たら安心しました。いつもは表情に出しませんが、あの時はうれしくて、思わず下を向いて笑っていました。

 今年は国内フリーエージェント(FA)権を取得することもできました。実は開幕前に不安があったのですが、それはFAによるものだったのかなと思っています。どうしてもけがができない。不安があったからオープン戦の最後の方も結果が出なかったのだと思います。1000安打も、FAを取得できたのも自分の力だけじゃない。監督、球団、家族、友達、今まで関わってきた人たちのおかげ。現役である以上はプレーで恩返ししたいと思っています。

 淡路島出身で、高校、大学、社会人も関西でやってきた自分にとって阪神タイガースという地元の球団に入れたことは大きかった。応援をより身近に感じやすかったので、7年間一緒にやってきたなって。高校、大学、社会人も自分で決めてきた人生なので、FAについても、自分で決めていきたいと思っています。

 今のチームはメンバーのバランスがすごくいい。ただ、5年後には世代交代もあると思います。もっと若い世代が出てきて、ベテランはベテランでの役割が絶対あるので。長くチームが勝つためにはそのバランスが大事かなと考えています。

 2度のリーグ優勝を経験しました。今後はプロ野球選手として「楽しく野球がしたい」です。今までよりも今は絶対楽しいですが、もっと楽しめる方法があるんじゃないかなって思っています。たぶん楽しくないなって思ったらもうやめる時なのかなと。常に自分が楽しいと思えるものを探しながらやっていきたいです。(阪神タイガース外野手)

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