阪神、助っ人0本塁打でVか 実現なら1986年広島以来39年ぶり 今季は野手1人態勢 ドラフト戦略「国産化」に成功

 助っ人選手の本塁打ゼロのまま、阪神が優勝へと突き進んでいる。外国人ノーアーチでの栄冠となれば、1986年の広島以来、実にプロ野球39年ぶりだ。阪神では近年、数多くの生え抜き野手が着実に成長。助っ人に頼らないチーム作りの成功が、思いがけない記録として結実しようとしている。

 今季の阪神は、外国人野手をヘルナンデス1人に絞って戦った。前半戦では4番の佐藤輝を外野に回してまで先発三塁手として起用したが、出場39試合でわずか17安打、長打は二塁打3本のみだ。我慢強く使ってくれた首脳陣の期待には応えられず、8月10日に登録抹消。デュプランティエら助っ人投手たちも本塁打を放ってはおらず、外国人0本塁打のままシーズンを終える可能性が高い。

 阪神の外国人が合計0本塁打なら、1966年以来59年ぶり。ところが同年は、助っ人は投手のバッキーのみだった。「外国人野手が在籍しながら、助っ人の本塁打なし」となれば、1952年にNPBに外国人枠ができて以来、球団初である。

 助っ人アーチ0の球団の優勝は、1986年の広島までさかのぼる。もっともこの年の同チームは、外国人を雇わず日本人だけの布陣だった。また1965年から73年まで9連覇を成し遂げた巨人も、ONを中心に助っ人抜きのチーム編成だった。今季の阪神のように「外国人選手を起用しながら、0本塁打で優勝」となると、近年では極めて珍しい。

 阪神打線は、このところ「国産化」が進んでいる。2桁本塁打を放った助っ人は、21年マルテ22本、サンズ20本までさかのぼる。2桁アーチの助っ人不在が、今季で4年連続に延びることは確実だ。

 助っ人依存から脱却した背景には、ドラフト入団野手の着実な成長がある。2000年代以降、チームはFAなどで他球団から強打者を招き強化を図ってきた。金本知憲を筆頭に、新井貴浩、福留孝介、糸井嘉男ら、実績あるベテランたちが中軸を担ってきた。そしてマートン、ブラゼル、ゴメスら実力派助っ人も脇を固めた。生え抜き野手といえば、鳥谷敬の「一強」時代が続いてきた。

 2019年限りで鳥谷がチームを去ると、若返りが一気に進む。近本、中野、森下、佐藤輝、大山の5人は、昨季から2年続けて規定打席到達&100安打以上を達成。左翼のポジションには数多くの若手がチャンスを与えられ、し烈な競争を繰り広げた。

 外国人選手の本塁打ゼロでの優勝は、生え抜き選手たちの力強い成長と、地道なチーム作りの成果でもある。今季アーチを放った8選手も、全員が阪神にドラフト入団した選手。助っ人に頼らずとも勝てる-。その証明が、ひとつの歴史として刻まれようとしている。

 ◆阪神優勝シーズンの助っ人選手 前回優勝の23年は、ノイジー9本、ミエセス5本と2桁本塁打はなし。もっともノイジーはオリックスとの日本シリーズ第7戦で先制3ランを放ち、日本一を引き寄せた。

 1985年には、史上最強助っ人バースが54本塁打で三冠王。掛布雅之、岡田彰布とのクリーンアップで他球団を圧倒した。また2003年には、前年にオリックスから加わったアリアスがチーム最多の38本塁打。金本知憲、今岡誠らと打線をけん引した。2005年には、3番に定着したシーツも19本を記録した。

 古くは1962年にソロムコが14本塁打し、初のセ優勝に貢献。64年には、29勝を挙げたバッキーが自ら3本放つなど、投打に大活躍していた。

 ◆助っ人ゼロ1986年の広島 山本浩二、衣笠祥雄の両ベテランに衰えは見えたものの、高橋慶彦、山崎隆造、正田耕三ら上位打線は脂が乗りきっていた。長内孝、小早川毅彦、長嶋清幸らの若手野手たちの成長も見越し、外国人を雇わずシーズンに臨んだ。北別府学が18勝と防御率2.43で2冠を獲得するなど、投手力を前面に出し、巨人とのつばぜり合いを制し優勝を飾った。27本塁打の山本浩がこの年限りで引退。オフに球団は、ランス、ジョンソンの両助っ人野手を獲得した。

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