阪神ドラフト戦略は“目玉選手”よりも“ピースにはまる選手” ハングリーさ重視!心も大切
59年ぶりとなる関西シリーズの周辺や裏側をお届けする企画。今回は両球団スカウトにスポットを当てる。オリックスと球団合併した近鉄OBで、阪神の統括スカウトを務める畑山俊二氏(59)が、近年のドラフト戦略の一端を明かした。
◇ ◇
生え抜き中心の編成で18年ぶりのリーグ優勝を成し遂げ、38年ぶりの日本一に挑んでいる。ドラフトで獲得した選手の躍進ぶりに、畑山氏は「本当にスカウト冥利に尽きる。スカウト全員が報われた」と目を細めた。
スタメンには近本、森下、大山、佐藤輝といったドラフト1位が名を連ねるなど、指名選手が着実に力を伸ばしている。畑山氏は近年のドラフト戦略について「いい選手よりも、ウチのピースにはまる選手を優先的に取っている」と明かす。毎年のように現れる“目玉”選手をやみくもに狙うのではなく、層の薄いポジション、左右のバランスなど補強ポイントを的確に見極め“穴”となる前に埋める。「その根幹がドラフト」と力を込めた。
16年度に右の大砲として大山を獲得すると、20年度には左の佐藤輝を指名して左右の長距離砲をそろえた。22年度には再び右打ちの森下。本年度は即戦力右腕を獲得と、理にかなったドラフトを繰り返している。
ドラフトでは技術面はもちろん、メンタル面も重要視するという。4万人超の大観衆で埋め尽くされる聖地。並の精神力ではプレーできない。畑山氏は甲子園出場経験のある村上や伊藤将に触れ「経験値があって、大舞台を経験している選手」を評価基準の一つに挙げた。
ただ、経験だけが絶対でもない。「人一倍のハングリーさ」も重視。13年度6位の岩崎、15年度5位の青柳、20年度8位の石井らは甲子園の経験もなく、下位指名からはい上がった。畑山氏は心技体の「心」の大切さを強調した。他球団に目を向けても、近年は“大物狙い”ではなく、意図が透けてみる指名が主流となり、より的確で緻密なドラフト戦略が求められるという。
阪神のスカウトに就任した02年。当時の星野仙一監督(故人)は、古巣中日のスカウト陣をよく褒めていたという。駆け出しのスカウトだった畑山氏は「周りから認められるような、そういう集団になりたい」との思いを募らせていた。地道な取り組みが結実し、優勝という形で花を開いた。「この形を継続して、常勝軍団を築いていけるような、その力になれれば」。黄金期の一翼を担っていく決意をにじませた。
関連ニュース





