阪神・藤川監督 M39点灯も泰然自若「まだそういうことを考える時期ではない」

 「阪神5-0広島」(30日、甲子園球場)

 試合後も六甲おろしは鳴りやまなかった。広島を圧倒し、ついに優勝マジック39が初点灯。お祭り騒ぎのスタンドをよそに、阪神・藤川監督はいつも通り冷静沈着だった。

 「全く知らなかったですね。自分たちは毎日必死で戦っていくので、ここにいていただいている皆さんとか、全国のタイガースファンの皆さんに、どんどん盛り上がってほしいと思います」

 序盤は我慢比べだった。試合が動いたのは四回だ。佐藤輝の安打からチャンスをつくると、大瀬良の暴投で1点を先制。六回には代打・ヘルナンデスが押し出し四球を選び、貴重な2点目を奪った。それでも「暴投と押し出し、その点数ではゲームが決まることはなかなか難しい」とベンチで冷静に戦況を見つめていた。八回はようやく打線がつながり一気呵成(かせい)の攻撃で、大山と熊谷が蒸し暑さを吹き飛ばすようなタイムリー。一気に試合を決めた。

 先発・村上の代え時も絶妙だった。「ホントは90球ぐらい、五回までと思ってたんですけど、回の締まり方がすごく良かった」と復調を察知すると、六回の続投を決断。七回は及川、八回は石井の快投で攻撃へ流れを呼び込み、守護神・岩崎の温存にも成功した。

 今季のキーマンに指名した佐藤輝の12球団最速弾で幕を開けた25年シーズン。開幕から順調に白星を積み重ね、5月17日に首位に返り咲くと、そのまま快走。交流戦こそ7連敗とつまずいたが、6月下旬から11連勝を飾り、独走態勢に入った。残り49試合。いよいよカウントダウンが始まったが、藤川監督は「道中ですからね。まだそういうことを考える時期ではない」と泰然自若だ。

 「もう11月からチームと動き出してから、凡事徹底と没頭するということですから、そこで止まることはないですね」

 2年ぶりVへ、死角は見当たらない。歓喜のゴールテープを切るまで、一心不乱に走り続ける。

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