「阪神４－５巨人」（２１日、甲子園球場）

　両リーグ最多得票の男がファンの期待に応えた。チームは惜敗したが、阪神・森下翔太外野手が反撃を呼ぶ一打を放ち、虎の３番打者として意地を見せた。４点を追う四回１死、井上の低めスライダーを捉え、左前へ運んだ。その後に佐藤輝が中堅越えの二塁打を放ち、チャンス拡大。大山の左前適時打で反撃のホームを踏んだ。

　試合前、球宴ファン投票の中間発表があり、外野手部門で両リーグ最多の６万２６３７票を獲得した。「出たことがないので、そうやって期待してもらえることはすごくうれしい」と初出場に向けてファンへの感謝の気持ちを吐露していた。「結果を残すために必死に練習していた部分もある。その結果がつながったのかな」と努力の結果が数字に表れた。

　ここまで打率は・３０４、本塁打は７本と無類の勝負強さを誇り、打線をけん引してきた。「去年はスタートが良くなかったので、今年は一つ課題として良いスタートが切れた」と活躍を振り返る。

　１点を追う九回２死では巨人の守護神マルティネスから厳しい攻めを受け、空振り三振に斬られた。厳しい表情でベンチに下がった森下の目はリベンジに燃えていた。「（明日からも）まあ頑張ります」。敗戦後、絞り出すようにつぶやいた。全てはチームの勝利のため。チームの浮沈を握る男がファンへの恩返しを果たすため、結果を示していく。