小山正明氏「『うん』と言ったら社長も救われるんでしょ」 山内と「世紀のトレード」異例のオーナー会見同席
元阪神投手の小山正明(こやま・まさあき)さんが18日午前11時20分、心不全のため死去した。90歳だった。
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1963年12月26日。阪神タイガース・小山正明投手と大毎オリオンズ(現ロッテ)・山内一弘外野手との交換トレード成立が、両球団から発表された。前代未聞とも言えるエースと4番打者の交換は「世紀のトレード」として今も語り継がれている。
このトレードについては成立前から情報が飛び交い、小山さんは連日のように報道陣から取材を受けていたという。そこで小山さんは当時の球団社長と直接話し合いの場を設け、こう言った。
「阪神でもらう1万円も東京でもらう1万円も同じ。そう考えて僕が『うん』と言ったら社長も救われるんでしょ。(移籍を)決めてもらっていいですよ」
この瞬間、球団社長がホッとしたような笑みを浮かべたという。ほどなくトレードは成立、発表された。
トレード発表の会見場には阪神・野田誠三、大毎・永田雅一両オーナー、そして小山、山内の両選手、計4人が並んだ。オーナーが会見に同席することは異例で、まさに「世紀のトレード」と言えた。
小山さんは阪神在籍11年で176勝と数々の記録を残してチームを去った。永田オーナーからは「いやあ、よく来てくれた。ありがたい。オリオンズを強くしたいんだ。よろしくな」と歓迎された。期待通りに移籍1年目の64年は30勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得した。
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