阪神・前川右京 難敵撃ちで開幕スタメン前進 岡田監督も評価「いやいや、使ったら打つよ」混とん外野争い
「オープン戦、中日4-3阪神」(16日、バンテリンドーム)
難攻不落の守護神からの一打だけに、余計に存在感が光った。阪神・前川右京外野手(20)が2点を追った九回1死一、二塁で、中日のマルティネスから意地の右前適時打を放った。前日の対戦では一直に倒れていた中、リベンジを果たしてマルチ安打も記録。開幕スタメンを近づける、価値ある一振りとなった。
2日連続でやられるわけにはいかない。前川は18・44メートル先のマルティネスをグッと見つめ、ゆっくりとバットを立てた。期待の若虎と竜の守護神による、第2ラウンド。フッと息を吐き、一振りで決着をつけた。
2点を追った九回1死一、二塁。この日、5度目の打席を迎えた。「昨日も対戦してアウトだったので、今日は反省を生かして、ゾーンをしっかり打つという気持ちで打ちました」。約18時間ぶりの再戦。狙いを定め、初球の139キロスプリットを振り抜いた。
「グシャッ」。バットが折れ、鈍い音がドームに響く。ただ、同時に歓声が巻き起こった。芯ではなく、先端に当てながらも執念の一打。一、二塁間を破り、二走の植田が本塁に生還した。本塁後方では助っ人守護神が舌を出し、苦笑い。一塁上では前川が三塁ベンチに右拳を突き上げ、少年のように笑っていた。
15日は同点の九回1死一、三塁で低めのスプリットを捉えながらも、一直で併殺に。同じ轍(てつ)は踏まない。この日はストライクゾーンの同球種を仕留め、修正能力の高さを見せつけた。マルティネスは2年連続で防御率0点台。昨季にいたっては46回2/3で自責2と難攻不落の相手だ。岡田監督は「いやいや、使ったら打つよ」と驚きはしなかったが、また評価を高めたに違いない。
リベンジしたかったのは、マルティネスにだけではない。この日は森下に代わって、「3番・右翼」で先発出場しながらも1、3打席目で三振。「簡単には終わらないように」。試合中に切り替え、八回1死で松山から技ありの左前打。そして、九回の適時打にもつなげた。
プロ初の開幕1軍は当確。オープン戦ではスタメンや途中出場の使い分けをされながら、27打数8安打で打率・296と結果を残している。「外野(の競争)が激しいからなあ、それだけや」と指揮官。この調子でアピールを続ければ、開幕スタメンも見えてくる。
春季キャンプから一喜一憂しないことを自身のテーマに掲げている。「簡単にダメなまま終わらなかったのは良かったかなと思います」。悪い時には切り替え、良かった時も慢心はない。ノイジーや森下を超えるため、一日一日を全力で戦い抜く。
◆阪神VSマルティネス 中日・マルティネスの2023年阪神戦成績は9試合で1敗7セーブ、防御率0・00。阪神打線は唯一、5月3日の対決で黒星をつけたが、相手守備の失策が絡んで奪った2得点のため、マルティネスの自責は「0」だった。通算対戦成績でも18年からの6シーズンでマルティネスが阪神戦40試合で3敗22セーブながら防御率1・05に封じている。
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