阪神・岡田監督×武豊の新春対談 連覇へ!偉業へ!日本一の2人が見据える2024年とは

 新年に「馬道一筋」「球道一筋」をそれぞれ誓った武豊(左)と岡田監督(撮影・高部洋祐)
 ガッチリと握手を交わす武豊(左)と岡田監督(撮影・高部洋祐)
 “優勝”一点買いの馬券で互いにエールを送った武豊(左)と岡田監督(撮影・高部洋祐)
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 新春BIG対談が実現だ。阪神を18年ぶりリーグ制覇に導き、日本シリーズも制した岡田彰布監督(66)と、昨年末の有馬記念をドウデュースで勝利し、健在ぶりを示した武豊騎手(54)が“日本一対談”を行った。長年競馬をたしなむ岡田監督と、阪神ファンの武豊。話題の尽きなかった大物同士の対話をじっくりお楽しみください。

 -明けましておめでとうございます。昨年は阪神がリーグ優勝と日本一。武騎手は有馬記念を制しました。

 岡田監督(以下岡)「ありがとうございます。(日本一は)38年ぶりで(有馬記念は)枠連【3】-【8】やったんやなあ。あとでみんな考えるけど(笑)」

 武豊騎手(以下武)「新聞を見て監督はスルーセブンシーズなんだなというふうに見てました(笑)」

 岡「一応、⑤(ドウデュース)もいっとったからな(笑)」

 -振り返って。

 武「狙ったレースができたんで。うまくはまった感じはありましたね。もともとすごく強い馬なんですけど、本領発揮できたかなと思います」

 -武騎手は「京都岡田会」のメンバー。

 岡「(昨年12月21日の岡田会で)ビデオレターくれた(笑)」

 -いつからか。

 武「もう長いですね。なかなか日程が合わないんですけど」

 岡「2004年からやからなあ」

 -対談は初めて。

 岡「いつも(競馬で)忙しい時やもん」

 -武騎手はリーグ優勝の瞬間は。

 武「甲子園に見に行かせていただいて、胴上げも生で見させていただきました」

 -当日は園田競馬で乗っていた。

 武「園田でアレできたんで、甲子園でアレ見てきますって(笑)」

 -日本一の瞬間は。

 武「家でテレビでですね。ちょうど僕ケガしてたから、全試合フルで見てましたね」

 -強さはどこにあると感じていたか。

 武「雰囲気が勝ちそうですよね。選手たちも自信ありそうな感じですもんね。勝つんだろうなあっていう感じで見られるというか」

 岡「そう(笑)。強くなったんは確かやね、ホントに。ここで1本出たらという時に出るんよね。終盤でも逆転とかして」

 -日本一はどういう気持ちだったか。

 武「子供の時からずっと阪神ファンで、ジーンと来ましたね。感動しました。休んでる時だったんで。パワーをもらいましたね」

 -今年の目標は。

 岡「タイガースは今まで連覇がないからね。だからまずリーグ優勝よ。リーグ優勝」

 武「フランスの『アレ』(凱旋門賞)ですね(笑)。ドウデュースが無事なら、もう1回トライすると思うので楽しみですね」

 -世界一のイクイノックスがジャパンCを最後に引退して、有馬記念をドウデュースが制した。

 武豊騎手(以下武)「同期なんですけどね」

 岡田監督(以下岡)「イクイノックス、そんな強いん?」

 武「強いですね、びっくりするぐらい強かったですね」

 岡「あれは親がキタサン(ブラック)でも乗られへんの?」

 武「そうです、そうです(笑)。キタサンには乗ってたんですけど…」

 -1回はイクイノックスに乗りたかった。

 武「まあ、そうですけどね、なかなかそれは…。みんな乗りたいと思いますよ、あの馬には」

 -有馬記念を20代、30代、40代、50代でも勝った。

 岡「俺、60代やで。騎手って何歳ぐらいまでいてんの?」

 武「(中央競馬の現役なら)柴田善臣さん(57歳)ですかね。それでも60はいってないですね」

 -武騎手は有馬記念で最年長GI勝利記録を更新。一方の岡田監督は日本一を監督として最年長で達成。

 武「あっ、そうなんですね」

 岡「引退のあれはないの?何が基本というか」

 武「なんかこう真剣に考えたことはないですね、はい。依頼がなくなったらレース出れないんですけど、今のところはあるんで」

 岡「なあ、いつまでもいけそうやもんなあ」

 武「野球選手は何歳ぐらいが…」

 -ソフトバンク和田やヤクルト石川が頑張っている。

 岡「(今年で)43、44やなあ」

 -過去に一番長くても山本昌の50歳。

 岡「バッターは動体視力というか目がついていかんようなってくる、やっぱり。ピッチャーの方が長いんかな。視力の衰えやよな、野球の場合はね」

 -今の若い選手たちをどう見ているか。

 岡「素直やね。勝ったことによって、ホントに野球をしてるというかね、楽しんでね。野球をもっとうまくなるという向上心みたいなのがすごいね。チームの戦力になりたい、勝ちたい、優勝したいっていうね。そういう集まりだから、余計強くなっていく。俺らの時は、みんな聞き分けのいい子じゃなかった(笑)」

 -騎手の若い人は。

 武「同じような感じですね。みんなマジメっていうか、いい意味ですよ。うまくなりたい、勝ちたいっていう、すごい向上心持ってますね。今思えば自分の若い時がちょっと恥ずかしいぐらいのね。もう一回やり直したいぐらい、今の若い子を見ててね。若い子たちには“いいかげんにしてください”って言われますけど(笑)」

 (続けて)

 「僕が若いころの先輩とかはやっぱり、さっき監督が言ってたみたいに、すごい個性的な人だらけで…」

 岡「昔の人な」

 武「馬に乗って、酒飲んでっていう人がほとんどでしたから、今はたぶんいないですもんね」

 -競馬界の未来も明るい。

 武「いろんなジョッキーが増えて明るくなってますしね。18、19のかわいい女の子と僕らみたいなオッサンが一緒にやるわけですからね、そんなスポーツないでしょ(笑)」

 -でも若い人には負けたくない。

 武「もちろん。競り合って負けたら嫌ですよ(笑)」

 岡「今の若い子は早いよね。俺ら若い時は我流でやってたけど、今なんかウエートの器具とか、いろんな施設がすごいもん」

 武「科学的ですね。選手のレベルは上がっていますか?」

 岡「体が上がってると思うわ。体つきというかね、今高校生でもすごいもん。学校で鍛えられるというかね」

 武「馬も一緒ですよね。2歳とかでもう出来上がってますから。新馬戦、デビュー戦で、好タイムを出さないと勝てないぐらいなんで。レベルがグングン上がっていってる」

 岡「馬て、食べもんがええのかな(笑)」

 武「食べ物も、トレーニングもどんどん進んでますよね」

 岡「今の方がレコード出るんだ」

 武「20年前とだと1秒以上は速いですね。2秒近く速いかもしれないですね」

 岡「馬も進化してるんよね。騎手もそら進化してるわな」

 -日本シリーズは4勝3敗だった。

 岡「オリックスも強かったからね。でも悲壮感はなかったよ。1勝2敗なったけど。3戦目も追い上げて最後、大山三振で終わったけど、なんとなくいけそうだなという雰囲気の負けというかね」

 武「見ててもそんな感じでしたね」

 -6戦目に山本に負けて、どっちに流れがいくのかと。

 岡「7戦目までいってもええわと思ってたもん(笑)。そら由伸もメジャー行くのでね、初戦負けてるし、目いっぱい来て完璧に抑えられてもまだ五分だし、7戦目でこっちは青柳を隠してたわけだからね」

 -隠していたのか。

 岡「開幕に投げて、2年連続最多勝取ってるし。ホントは6戦目・青柳、7戦目・村上でも良かったんや。でも今年ブレークした村上にそこまでプレッシャーかけない方がいいと思った。プレッシャーかけるんやったら青柳に『もうおまえが責任取って行け』と、そういう感じやったね」

 -そういう考えを聞いて。

 武「僕らも7戦目誰なんだろうって考えてて『あっ、そうか、それがあったなあ』みたいな。そうですね、開幕投手ですもんね」

 -武騎手は監督のコメントを見ているか。

 武「おもしろいですね。いつも新聞で楽しみにして読ませてもらってるんですけど。ひと言で伝わりやすい言い方をされてるなあっていうか、根性論とかでもないし。読んでてもそう思いますし、“そういうことか”とか」

 -最も象徴しているのが新語・流行語大賞にもなったアレ(A.R.E.)。

 武「そうですね、ホントにこれだけ浸透するっていうのは…」

 岡「何でも使えるもんな、アレ(笑)」

 武「メディア的にもすごくいいなあと思うんですよ。ファンと現場の間にメディアの方がいて、僕ら(阪神)ファンからしたらいろいろ知りたい、教えてほしいとかいうところで、監督がすごく分かりやすく、面白い感じで発信してくださっているので。こういう感じで(メディアに)対応したらいいのかなって勉強になる。参考にさせてもらっている部分はありますね」

 -今季のスローガンは「A.R.E.GOES ON」。監督が考えられたのか。

 岡「そうそう、嫁さんが変えよったわ」

 武「あっ、そうなんですか」

 岡「あれ『GOING ON』やったんや。(陽子夫人に)なんか付けるみたいやなあ言うたら『GOING ON』という英語はおかしいんちゃうとか言い出して、『GOES ON』やろって、継続ていうかな」

 -競馬界でも親しみやすいものがあれば。

 武「有馬記念の時に何か考えておけばよかった(笑)」

 -武騎手が今年一番期待する選手は。

 武「昨年は出てきた人がみんな活躍したから、またそういう選手が出てくるのかなとか、そっちが楽しみですね。まだ我々が気付いてない…」

 -門別とかルーキーの下村とか。

 武「ああ、見たいですね、早く」

 -監督が楽しみにしている選手は。

 岡「可能性あるとしたらピッチャーやな。何らかの形でチャンスが来た時にね。それが門別かも分からないし、下村とか椎葉とか。レベルがすごく高くなったし、同じような年代、若い選手が多いから、ものすごいいい刺激というか、競争になると思うよ。だから全体のレベルアップができればチームとしては一番いいわけやからね」

 -連覇するためにどういう野球、チームになればいいか。

 岡「ずっと言うてるのはまだまだ伸びしろのある選手多いから、キャリアハイの数字を残してるのいないから。近本、中野でも3割打ちたいと思うしね、そこにたどり着いたら、もっと強なるわな(笑)。だから俺もうあんま何にもせえへん、今年(笑)。いや、する必要がだんだんなくなってくるよね」

 -武騎手の最終的な目標は凱旋門か。

 武「もう、長い夢ですね。夢というか目標ですね」

 岡「昔、(ディープインパクトは)2着で降着やったかな」

 武「3着で失格になりました(笑)。日本馬も2着が3回。僕もアレって言います(笑)」

 -監督から武騎手への期待は。

 岡「もうマイペースでやればいいんちゃう。勝負どころというか、大事なレースとかでパンと乗って、やっぱり強かったみたいなね。もう55(歳)越したら無理することない(笑)。大事なGIとか重賞とかで存在感を見せたらいいと思うよ」

 -もちろんダービーも勝ちたい。

 武「やっぱりダービーは毎年目標ですね、勝ちたいですね」

 -ダービーは6勝で、全ての年代で勝っている。

 岡「そんなん言い出したら60(歳)になっても乗らなあかんやん(笑)」

 -2024年のいい相棒は。

 武「今のところはまだ、特にそういう馬は。でも朝日杯(FS)で2着だったエコロヴァルツ、楽しみですね。まだ粗削りですけど」

 岡「やっぱり乗ったら分かる?見ただけでも分かるの?」

 武「いや、乗ったらですね」

 岡「見てだけでは分からんよな。でも馬のツヤがええとか、みんな新聞は載せてるやん(笑)。仕上がり何%、AとかSとか」

 武「適当ですよ(笑)」

 -武騎手は岡田監督との対談を終えて。

 武「子どもの時に見ていた憧れの選手と対談させてもらえるんだって、ここに向かってる時も感慨深いものがありましたね。どうなるか分からないなあと(笑)。しかも日本一になられて、僕も有馬に勝って引っ張ってもらったような気がしますね。対談させていただく日が前もって決まっていて。有馬記念の後のこの日(※)に設定していただいていたんで、いいふうに出ないかなってちょっと思っていましたね。すごくうれしいですね」

 岡「馬券買うといたら良かった(笑)」

 ※対談は昨年12月26日に実施

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