【阪神ドラフト選手特集・富田蓮(2)】体力作りと持ち味の直球に磨きをかけた高校時代

 10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた7選手(1~6位・育成1位)の連載をお届け。第6回はドラフト6位の富田蓮投手(21)=三菱自動車岡崎=を紹介する。

  ◇  ◇

 富田は兄・至温さんと同じ大垣商に進み、投手として本格始動した。入部直後、ブルペンで球を受けた有賀竜也監督は驚いた。「スピードはそんなになかったんですけど、スピンがすごかったです」。特別な練習をせずとも、回転数の多い直球はすでに大器の片りんを見せていた。

 1年秋からベンチ入りしていた富田だったが「その時はなんとかチームを勝たせようという気持ちがなかった」と有賀監督。しかし岐阜大会1回戦でコールド負けした悔しさをきっかけに一変する。メニュー以外に走り込むなど、自分を追い込む練習をするようになった。さらに1年生ながら投手陣の先頭に立って引っ張っていくようになった。そんな姿を見た有賀監督は、2年春から富田をエースに抜てきした。

 プロを志したのは、2年夏の岐阜大会決勝で大垣日大に敗れた直後。毎日提出していた野球ノートに有賀監督から「プロ目指せ」とメッセージが書かれていた。その言葉で富田は「絶対プロに行く」と決心した。有賀監督は「右のインコースにストレートをきれいに投げられていました。期待の意味も込めて書きました」と当時の心境を明かす。

 富田はギアを上げた。体力をつけるため、冬には一日200球を投げ込んだ。さらに投手陣と大垣市内の金生山で5キロの水が入ったおもりを持ち、40メートルの坂道ダッシュを繰り返すトレーニングを重ねた。2年時に133キロだった球速は、3年時には140キロに到達した。

 持ち味の直球に磨きをかけるため、意識しなかった握り方にもこだわった。「指先ではなくて、第一関節で握るようにしたら、押し込めるようになりました」と富田。回転数はさらに増え、より伸びのある直球になった。

 高校を卒業すると「プロへの近道」と考え、三菱自動車岡崎に入社。10歳以上年上の選手とも対戦する中で、内面も大きく成長した。「社会人は同じバッターと何回も対戦するので、打ち取れると自信になりました」。マウンドでの落ち着きも増し、U23W杯で世界一に貢献する投手にまで上り詰めた。「何もできないような子だったのに、帰ってくると、本当にしっかりしたなと感心します」と家族全員が目を丸くするほど人間的にも大きくなった。

 そんな富田だが、幼い頃から明るくていつも前向きな性格は変わらない。「みんなにかわいがられる性格です」と三菱自動車岡崎の梶山義彦監督は話す。持ち前の明るさ、ポジティブさも武器に、プロの舞台で躍動する。

 ◆富田蓮(とみだ・れん)2001年9月6日生まれ。21歳。岐阜県出身。174センチ、78キロ。左投げ左打ち。投手。大垣商、三菱自動車岡崎を経て22年度ドラフト6位で阪神から指名を受ける。中学時代には大垣ボーイズに所属。大垣商では1年秋からベンチ入り。三菱自動車岡崎入社後、侍ジャパンのU-23代表に選出。最速は147キロ。球種はカーブ、スライダー、チェンジアップ、フォーク。

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