阪神・佐藤輝「嘉男さん、ありがとう」 去り行く先輩に捧げるタイムリー
「阪神4-10広島」(21日、甲子園球場)
尊敬する先輩のラストゲームに花を添えたかった。阪神・佐藤輝明内野手(23)が初回2死満塁から右前に先制の2点適時打。今季限りで現役生活に別れを告げる糸井嘉男外野手(41)の引退試合を勝利で飾りたかったが、延長11回の熱戦に敗れて5位転落。それでも残り4試合、最後まで全力で戦い続ける。
超人・糸井の引退試合で、近大後輩の弟分が躍動した。佐藤輝が初回に先制の2点適時打。惜しくも逆転負けを喫したが「しっかりこれから成長した姿を見せられるように頑張りたいです」と決意を新たにした。
パワーで押し込んだ。2死から3連続四球で満塁の場面。制球に苦しむ森下に対して、積極的に仕掛けた。内寄りのファーストストライクを振り抜き、やや詰まりながらも打球は右前へ抜けていった。
「絶好のチャンスでしたし、積極的に振り抜きました。いい結果になってよかったです。嘉男さん(糸井)、ありがとう」と振り返った主砲。8試合連続安打でヤクルト・村上、大山に次ぐリーグ3位タイの82打点目を挙げた。
守りでもビッグプレーを2度見せた。初回1死一、二塁ではマクブルームの大飛球を背走してジャンピングキャッチ。抜けていれば2失点という場面でチームを救った。さらに延長十回も先頭の西川の同じような打球を好捕。フェンス際の恐怖心をものともせず、体を張って投手をもり立てた。
惜別の念は尽きない。この日のアイブラックには、真ん中に白のペイントで「7」と入れた。昨季入団し、結果的に右翼のポジションを糸井から奪った形になった。それでも絆は深い。一緒にメジャースタイルでユニホームを着こなし、本塁打を打った際のパフォーマンスも2人で考えた。よき兄貴分への感謝をプレーで、言葉で表した。
五回に糸井が代打で左前打を放った際は、真っ先にベンチを飛び出して拍手を送った。「いつもと変わらず集中して打席に入っていたと思います。ファンの声援や球場の雰囲気とかスーパースターだなと感じました」と最後の雄姿を目に焼き付けた。攻守で気を吐いたが、自身も初回以降は4打数無安打で、最後は悔しい粘り負け。先輩の最後の試合を勝利で飾ることができず、CS進出争いでも3位・巨人に2差と後退した。だが、残り4戦、可能性が途絶えるまで戦い抜く。