阪神は２７日、西宮市内の虎風荘で新人選手を対象とした恒例の講演会を開催し、藤川球児ＳＡ（４１）が講師を務めた。現役時代に球界を代表するストッパーとしてメジャーも経験した先輩から、阪神でプレーする際の心構えを説かれたルーキーたち。ドラフト１位・森木大智投手（１８）＝高知＝は「阪神の顔」として世代交代の旗手となることを誓った。

　熱気に包まれた約１時間半の講義。目の前には、野球を始めるきっかけとなった藤川ＳＡ。包み込むようなオーラに圧倒されながらも、森木はその一言一句に耳を傾け、食い入るように視線を送った。

　「３０分もないくらい（に感じるほど）話に入った。これからに絶対生きてくる話だと思いました」

　ドキリとした。講義の途中、藤川ＳＡが「１２球団で本当に胸の張れるスターだよっていう選手は？」と投げかけた問いに、ルーキーたちは戸惑った。

　藤川ＳＡ「じゃあオリックスは？」

　新人「山本選手です」

　藤川ＳＡ「ソフトバンク」

　新人「千賀選手」

　藤川ＳＡ「巨人」

　新人「菅野選手」

　では、阪神は－。口を開いた選手が誰もいなかったのが、答えだった。スターへの道を歩んでいる選手はいるが「なりきれた選手はいない」とＳＡ。現実を直視させた上で、未来のスター候補にメッセージを送った。

　「（首脳陣らに）選ばれるとか選ばれないとかの選手になってはいけない。自分というものを作り上げてほしい。そうすることが唯一、今名前を挙げられたような選手になれるチャンス」

　怪物右腕はもちろん、その期待に応えていく覚悟だ。「僕の目標は世界一なので。そこになるためには、まず阪神の顔にならないといけない。阪神タイガースという球団を盛り上げていけるように努力していきいたい」。信念はぶれない。森木大智とは何か－。これから自らの手で確立していくつもりだ。

　藤川ＳＡとは初対面で入団会見の際には「超えなくちゃいけない存在」と宣言していたが、「世代交代として、僕が先頭に立ってやっていくことが大事だと思うので、有言実行できるように」。そのためにも、藤川ＳＡが視察予定の安芸キャンプでは「技術面とか、（現役時代の）一日の流れ、調整方法とか、そこを聞きたいです」と心待ちにする。

　金の卵から“虎の顔”へ。憧れた先輩のゲキを胸に、スター街道を切り開いていく。