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阪神・近本 大学先輩・宇良から金言授かる 「自分軸」を胸に球界&角界で暴れまわる

 明けましておめでとうございます。本年もデイリースポーツをよろしくお願いいたします。新年第1弾は球界と角界を盛り上げる“異種格闘技対談”です。阪神の近本光司外野手(27)と大相撲の人気業師・幕内宇良(29)=木瀬。虎の選手会長は関学大の先輩・宇良から「自分軸」という言葉を贈られ、互いの目標として、さらなる飛躍を誓い合った。

  ◇  ◇

 -あけましておめでとうございます。

 宇良「おめでとうございます」

 近本「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

 -関学大の先輩後輩(宇良が2学年上)。会うのは初めて?

 近本「卒業式の時に宇良さんが体育会功労賞をいただいていて、こんなにすごい人がいるんだと思っていました」

 宇良「自分は初めてです」

 -昨年の阪神は2位だったが、近本選手は最多安打、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を獲得。宇良関も初の三賞となる技能賞に輝いた。

 近本「盗塁王は逃してしまったんですけど、最多安打でチームに貢献したり、ベストナイン、ゴールデン・グラブで記者の人に選んでもらったりと、認められてすごくうれしかった」

 宇良「今年も取れるというそんな簡単な賞ではないと思う。今年こだわるかと言われたら、こだわりはしないですけど。技能賞が取れたということを自信に思って、今年も挑んでいきたい」

 -これまで積み上げてきたことの証しとなった。

 宇良「自分の努力が世間に伝わらないことが多々あるじゃないですか。僕はこんなに分かりやすい努力したんですよ。(20歳時の)体重64キロから140キロまで上げるという。これを過小評価というか、どう思います?」

 近本「誰かと比べたら劣りますけど、昔の自分と比べるしかないじゃないですか。その評価の仕方はおかしいと思います。大谷とどう違うか、佐藤輝と比べてホームランが何本とか、そんなん…」

 宇良「プロ野球もあるんですね、僕もよくあるんですよ。けがをしましたけど、けがをした照ノ富士さんも横綱に上がったと。違うやん、ってなるじゃないですか」

 近本「僕の同級生は大谷で、活躍は励みになりましたかと言われますけど、あんまり他の選手のことは見ないので。そんなことを考えるなら対戦相手のこととか、自分の形がどうなってるかを考えますね」

 宇良「最近、自分は『自分軸』というのにはまっていて、部屋にも貼ってあるんですけど、『自分軸』という言葉をプレゼントします。いい言葉なので。自分の頑張ったことが評価されなかったり、周りと比べられることはあるので、自分軸を持ってと。その言葉の意味は調べてもらって。自分の中で解釈してもらって」

 近本「自分なりの自分軸を作ってということですね」

 宇良「『自分軸』を互いの目標として置かせてもらっていいですか?」

 近本「はい!使わせてもらいます」

 (宇良関が自室から『自分軸』と書かれた紙を持ってくる)

 宇良「これを貼って2年くらい。(貼った理由は)けがで落ち込んだりした時に、自分で書いたんだけど。去年、お互いにいい賞をもらって、今年も注目されるかもしれないけど、自分軸を持って」

 近本「自分の中でですね」

 -近本選手は171センチ、67キロ。宇良関は176センチ、147キロ。野球界、相撲界では、お互いに体が大きい方ではない。

 宇良「あんまり体格のせいにしてはいけない部分もあるんですけど、難しいですね。僕は、周りより小さいということに対する劣等感というのもあるんですよ。才能で劣っているとか。そういうのは野球でもあるんですか?」

 近本「そうですね。小さいから、まず内野手が定位置よりも前にくるんですよ。小さい頃はバットを短く持っていたので。でも『外野はもっと前に来い』って思っていましたよ。その後ろを越してやろうと。そう思って練習はしてました。体が小さいということをプラスのように感じていましたね」

 宇良「それができるといいですね。なかなかできなくて。どうしても力で負けるとか、体が違うなと思ったり。僕もちょっとプラスに持っていけるように頑張ります」

 近本「相撲は野球と違ってコンタクトスポーツだから、やっぱり体格差というのは大きいかと思います。野球は体格というよりも、技術の面が大きいと思うので。そこまで意識しなくてもいいのが野球。でも、意識はしますけどね。やっぱり大きい方が打球も飛びますし。大谷みたいな体格があればいいなと思いますけどね。見たら、うらやましいというのはあります」

 -自分よりも体が大きい人を負かすためには技術や工夫が大事。

 宇良「スピードと技で対抗するというのがあったんですけど。なかなか膝を2回けがしてしまうと、自由に動けないこともあるので。なぜか体が小さいのに、パワー相撲を取らざるを得なくなって。苦労はしてるんですけど。今となっては、それが武器になってきたかなというのがあります」

 近本「小さい頃から、体は小さいけどパンチ力はあると言われていたので。今は、自分が一番力が出るような打ち方しか考えていません。それ以上のもの、それ以上の飛距離を飛ばそうと考えなくなりました。自分のできる最大限の中で、どれだけパワーをつけていくのかを考えてます」

 宇良「近本選手に聞きたかったことがあるんですけど。打率って、落ちたり、上がったりするわけじゃないですか。打率を今は調子がいいから3割まで持っていけるとか。相撲でいうと、8勝7敗で勝ち越し。狙い通りには絶対にいかないじゃないですか。そういうのって狙います?」

 近本「あんまり打率っていうよりも、1試合でだいたい4打席あるんですけど。1カードの3試合で合計4本打つとか、5本打つというのは意識しますね。5本打ったら、3割5分とか、打率が上がっていく本数で。4本とか3本だったら打率が下がるヒット数になります。3日間トータルで考えていますね。なので、安打が2本、2本出ればいいという考えではいます」

 宇良「例えば『打てませんでした』という時に記者さんから『今日は調子が悪かったですね』と聞かれたりしますよね?」

 近本「あります、あります。内容が全部三振だったりするとですよ。でも、僕らはトータルの成績でしか見られないので。その日、5打席全てで安打を打ったからすごいではないので。(無安打が)続いたら結構キツいなと思いますけど。『今日1日、打てなかっただけやん』と思っています」

 宇良「そうですよね。僕もそう思っています。3日目とか4日目とかに『調子いいですね、悪いですね』と言われても分からないじゃないですか。僕らは15日、毎日1番を取るわけなので。そんな間に言われても分からないですよね」

 近本「僕はいつも開幕の1カ月が調子が悪いんです。じゃあ、スタートが良くて開幕から1カ月、3割5分、4割打ちました。その時はすごいですけど、143試合終わった時に3割を打っているのかどうかで評価は変わるので。結局はトータル的な評価が世間の評価になってくる。別に5月、6月打ったからって『調子いいですね』と言われても、だからどうなんですかと思いますけどね」

 宇良「いつも思うのが、千秋楽が終わって結果が出るわけじゃないですか。終わってみると、ホッとするじゃないですけど、そういう気持ちってありますか?」

 近本「あります」

 宇良「ホッとする気持ちが強いのか、全然ダメだったなという気持ちが強いのか」

 近本「まだ3年しかしていないので、シーズンはいい感じで進んでいるので、ホッとする気持ちですかね。休みがあったりすると、またスタートが悪い状況が来ると思っているので、シーズン中もずっと野球をしていたいなと思っていました。週3回、金、土、日を1年間続けたら、しんどいこともせんでいいのになと思います。でも、シーズンが終わったらホッとしますね」

 宇良「ホッとするのか、全然ダメだったなという気持ちは、僕は成績によりますね」

 近本「相撲は個人ですもんね。個人の成績が全てじゃないですか。野球はチームなので、個人がどれだけ打っても、順位は5位とか6位とかにもなるので。自分が打たなくてもチームが優勝したらうれしいです。でも、自分が活躍しないと、うれしさも半減します」

 宇良「結果を残すためには、実力はもちろんだと思うんですけど、運の要素はどれぐらいあると考えています?例えば、ヒットを打てた数とか、運と実力は何対何ぐらいに考えています?」

 近本「運の方が大きいと思っています。バットとボールは丸と丸なのでどこに当たるのか正直分からないじゃないですか。狙って打ったところと違うところにいったりもします。そこに守備がいるのかいないかでヒットになったり、アウトになったりするので。野球は、ボテボテのゴロでもギリギリアウトになるようにうまく作られているスポーツなんですけど」

 (続けて)

 「でも、相撲は僕の中では、力関係が正しいというか。強い人は強い。横綱は負けない相撲を取るというイメージがあります。その日のコンディションだったり、取組で負ける人はずっと負ける、勝つ人はずっと勝つという印象があります」

 宇良「大きい人は実力で安定した力を発揮できるんですけど。例えば、僕なんかは体が小さいので、場所の勝ち負けというのが、運が8で実力が2ぐらいの気持ちで戦っています。野球も打率という点では、そういう要素があるのかなと思っていまして」

 近本「たまたまというのはあります。たまたまそこに飛んだ、たまたまホームランになったというのは結構多いですね。相撲でたまたま勝ったというのは、どういう時なんですか?」

 宇良「僕だったらどう考えても戦う相手が強いわけですよ。たまたま足取って勝っちゃったとか、相撲ってあるんですよ(笑)」

 近本「じゃあ、野球はもっとたまたまなことが多いですよ。今は150キロを投げてくる投手も多いので。たまたま野手がいないところに打球が飛んだという、たまたまヒットというのは多々あります」

 宇良「打率という点では、運の要素があるのかなって気になったんですよ。取組後に記者さんに(勝った理由を問われた際)『たまたまですね』って言ったら、不満そうというか」

 近本「イチローさんは『狙って打っています』とか言われてますけど、そこまでいけばいいですけど。してやったりとか、イメージ通りの相撲はなかなかないんですね」

 宇良「そうですね。先場所は10勝5敗で勝ち越すことができたんですけど。取組の前とかは5勝できたらいいところかなって挑んだら、なんか10勝できちゃったという。そういう感覚ってないですか?打ちたくても打てるわけじゃないじゃないですか」

 近本「勝手に積み重なっていくものだと思いますけどね。単打を狙っていても、それがたまたまホームランというのは結構あるので。横綱とかは逆に運だと思っているんですかね?」

 宇良「思ってないですよ。横綱は運で横綱になったわけではないので」

 近本「勝っちゃったじゃないんですか?」

 宇良「いやいや、実力10の運0ですよ。僕は、場所前なんかネガティブな気持ちで臨んで、意外といけちゃったなという感じが多いんです」

 近本「僕もそうなんですよ。ネガティブからプラスにどう変えていくか。1年目に新人のヒットの記録を更新したんですけど、正直1、2年は2軍で頑張ろうかと思っていた中で、1年目からスタメンでレギュラーとして出られたので」

 宇良「そしたら、親近感が湧きますね。『バンバン打ちまくれるんだ』と思って挑んでるんだと思ってましたから」

 近本「僕は遠回りでプロに入っているんです。高卒、大卒、社会人で、一番遠い社会人からプロに入ったので。まず、僕はプロ野球選手を目指していたわけではなかったんですよ。1年目に巨人の菅野投手とか、オリックスの山本由伸投手とか、ソフトバンクの千賀投手ら球界を代表する投手と対戦した時に、すごいなと思ってやっていました」

 宇良「それは分かります。僕も相撲取りになろうと思って関学に進学したわけではないので。僕と似ているところがあるなと思って。大学での学生生活、まずは勉強でしたからね」

 (法学部出身の近本選手と教育学部出身の宇良関)

 近本「どうやって卒業するかしか考えていなかったです」

 宇良「僕は2年で単位をしっかり取って、卒業の見通しができてから相撲を頑張りだしたんですよ」

 近本「そうなんですね。野球部からは昨年も広島のドラフト1位で黒原という投手が指名されたんです。プロ野球の舞台で関学の先輩、後輩で対戦することもありますよ。でも、あまりプロ野球選手が多くないので、僕らが頑張らないといけないと思っています。僕は阪神タイガースで関西のチームなので、関西の学生にいい報告ができるように頑張ります」

 宇良「大学の相撲部員が2人になったということで、4月の勧誘を頑張ってもらって、(新入部員は)目標3人。最低でも1人は入れて、団体戦に出られるように頑張ってもらいたい。(大学の後輩らには)学業優先で頑張ってもらいたい。それが関学体育会のいいところでもあるので」

 (対談前に書き初めをし、宇良関は「向上心」、近本選手は「しなやか」と筆を走らせた)

 宇良「今年は30歳になる年なので、30歳ってなると、ちょっと一気に気持ちが沈むというか、これから衰えていくんじゃないかという恐れもあるんですけど。でもやっぱり、今の時代、30歳で落ち込むような時代じゃないと思ったので、30歳でも成長するんだという気持ちを込めて、書きました」

 近本「僕はそうですね、来年の抱負とか聞かれるといつも『優勝』とか言っているんですけど、(2021年は)けがを最後にしたので、体の使い方というか、力の伝え方とかをもうちょっとうまくやっていきたい。だから、パワーじゃなくて、しなやかさ。衝撃を受けた時にうまく流すとか。つらいことがあっても、うまく流せるしなやかさがもうちょっと今必要だなと思いました。もう今年は28歳になるので。うまくやらないとな、というのはあります」

 -計り知れない探求心と向上心を持つ2人が今年、求めるところは。

 宇良「番付とか、その日一日の勝負は本当に運と天賦のところがあるので。それこそさっき言った運8、実力2というのを、今年は7対3くらいにしたい気持ちですね。なので、もっと幕内で安定した自信を持てる力というのを今年は身につけていきたいです」

 近本「僕はけがしないように。野球にだけ集中できるようにしたいです。野球に集中していたら、また違うことにまた意識がいったりする。それができるだけ大きい負担にストレスにならないように健康第一でいきたいと思いますね」

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