阪神・高橋 無双状態の完封劇 2戦連続&二塁踏ませず97球でマダックス達成
「阪神3-0中日」(2日、甲子園球場)
圧巻のハルト劇場だ。阪神は先発の高橋遥人投手(25)が、二塁すら踏ませない97球の完封劇で圧倒した。2試合連続完封は球団左腕では29年ぶりとなる記録で、チームの連勝に貢献。首位・ヤクルトが勝利したためゲーム差こそ変わらなかったものの、逆転Vへの道筋を明るく照らす快投となった。
虎が誇る最強左腕がマウンドで仁王立ちした。わずか97球でのシャットアウト。大リーガー・マダックスの代名詞だった100球未満の完封劇を達成だ。それでも高橋は「バックの守備に助けられてすごい投げやすかった」と真っ先に野手陣への感謝を口にした。
二塁すら踏ませない完璧な投球だった。初回2死から大島の飛球を左翼・ロハスがグラブにボールを収めながらも捕球できず、左前打に。ただ、ピンチを広げることなく、ビシエドを右飛に抑えて難なく切り抜けた。
2試合連続2桁奪三振中だったが、この日は7奪三振。150キロ超えの直球、カットボール、ツーシーム、カーブを自在に操り、打たせて取る投球に徹した。八回には三者連続三ゴロと珍しいシーンも。「(梅野さんに)うまくリードしてもらったと思います」。27回連続無失点と抜群の安定感を誇っている。
自身初の3連勝を記録し、球団左腕では92年・湯舟敏郎以来となる2試合連続完封勝利をマーク。さらに100球未満の完封「マダックス」も球団では10年・秋山以来で、左腕に限れば1978年の山本和行以来となる偉業達成で、快挙ずくめの一日となった。
今季は岩田稔、中田、桑原とマウンドで生きざまを示してくれた先輩が、そろって引退を決断した。そんな彼らと過ごした日々は財産となっている。
「岩田さんはケガをしてる時も相談とか乗ってくれて、前向きに『気にすんなよ』と。賢一(中田)さんは100勝していても本当に努力家でみんなの前で黙々と練習していた。こっちも下向いちゃダメだなって。クワ(桑原)さんは僕が初勝利、1年目勝った時に何回も助けられた。すごい思い入れが深い」
球界の世代交代も進む中、高橋は次代のエース候補としての期待も大きくなった。9月上旬に復帰後は3勝1敗だが「でも、足りない。最初(ヤクルト戦で)負けてるし」と満足はしていない。
順当に行けば、8日からの首位・ヤクルト3連戦(神宮)で先発が濃厚。「リベンジしたいです」。その左腕でツバメ狩りを果たし、16年ぶりのリーグ優勝に弾みをつける。
◆阪神投手によるマダックス 阪神投手が100球未満で完封勝利する「マダックス」を達成したのは、秋山が新人だった2010年9月12日・ヤクルト戦以来。この時は、93球で9回4安打無失点だった。また、左腕に限れば山本和行が1978年7月20日・広島戦で記録して以来。この時は、97球で9回5安打無失点。