阪神 糸原113戦ぶり2号で菅野撃破 対戦率・400のキラー「最高の結果」
「巨人0-3阪神」(25日、東京ドーム)
阪神・糸原の打球が舞い上がった瞬間、東京ドームにどよめきが起こった。マウンド上の菅野は大きく体をそらし、無念の表情で唇をかみしめる。均衡を破る先制の2号ソロ。名誉キャプテンは金メダルをかけられて破顔一笑、飛び跳ねながら仲間が待つベンチに戻った。
「たまたまホームランになっただけなんで。でも、こんな大事な試合で打てて。(高橋)遥人も頑張っていたし、最高の結果になったかなと思います」
両軍無得点で迎えた七回1死。右腕が投じた内角150キロ直球を完璧に打ち砕き、G党で埋まる右翼席に突き刺した。4月1日・広島戦以来、113試合ぶりの一撃はプロ入り初の東京ドーム弾。昨季の対戦打率・400の“菅野キラー”が勝利への道筋を作った。
矢野監督も「追い込まれながらね。力というより完全に技で打ったバッティングだったと思うし」と絶賛。バックネット裏で戦況を見守っていた巨人・長嶋茂雄終身名誉監督も、鮮やかな放物線に思わずうなっただろう。
夢のプロ入りを目指して鍛錬を積んでいた社会人時代。JX-ENEOSの練習グラウンドは多摩川のほとりにあり、川を挟んだ反対側には1985年まで巨人の2軍本拠地だった「巨人軍多摩川グラウンド」があった。
多摩川に架かる二子橋と丸子橋を結ぶ全長12キロの土手コースを1時間以内に走る。朝6時スタートで2週間も続いた地獄メニューは「やばかったです」と糸原。長嶋氏も走ったであろう“ミスターロード”で鍛えた下半身が、長打を兼ね備える打撃を支えている。
「今日もいい勝ち方ができたんで、それが一番良かったなと思います」。9月に入ってから打率・306と上り調子。3番、5番とクリーンアップを任せられる背番号33が、打倒・巨人を先導する。