阪神 秋山2回KO、藤浪粘投も五回悪夢 ともに被弾3失点、執念ドローも笑顔なし
「阪神6-6巨人」(5日、甲子園球場)
劇的勝利を収めた前夜の流れに乗ることはできなかった。がっくりとうなだれる2人の右腕。大事な首位攻防戦で試合の主導権を受け渡した。スタンドの虎党からは悲鳴交じりのため息がこぼれる。両右腕の表情もさえなかった。
阪神・秋山は「先頭打者を出さないことを特に意識して」と先発マウンドに臨んだ。ただ、その言葉とは正反対の投球となってしまった。初回、先頭・松原にいきなりの四球。これでペースが乱れた。
1死三塁となり、吉川に右前適時打を献上。わずか打者3人で、先制点を与えた。さらに2死二塁から中島に2ランを被弾。肩を落として、その場に立ち尽くした。
二回も先頭に死球を許すなど、立ち直れない。矢野監督は「慎重になりすぎて、攻め切れていなかった」と早めの決断を下した。二回2死一、二塁で代打を送られ、秋山は今季最短の2回3失点でKO。ベンチで一点を見つめ、悔しさを押し殺した。
指揮官が2番手で送り出したのは再昇格後初登板の藤浪だった。三回は何とか無失点。四回は三者凡退で切り抜けた。しかし、五回に悪夢が待っていた。1死一、二塁から岡本和に甘くなったカットボールを拾われ、打球は左翼席へ。球審から悔しそうにボールを受け取り、唇をかんだ。
矢野監督は「あれ(岡本和の3ラン)も2ストライクやからね。やっぱり投げミスはもったいない。制球ミスも晋太郎(藤浪)はまだまだあるけど、減らしていかないと」と、苦言を呈した。
味方打線と六回からの中継ぎ陣が奮起し、結果は執念のドロー。試合後には虎党から「よくやった!」の拍手喝采だ。ただ、一塁線上に整列し、あいさつをする2人には笑顔も達成感もなかった。